スマホを支える2大液晶技術「WhiteMagic」と「 IGZO」!どっちもスゴイ世界に誇れるジャパンクオリティだった

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皆さんは「WhiteMagic(ホワイトマジック)」をご存知だろうか。これは、昨年より富士通スマートフォンに搭載されている液晶ディスプレイ技術のブランド名だ。液晶技術と言えば、シャープの「IGZO」が有名だが、この「WhiteMagic」、直訳すると「白い魔術」。ただものではない感をヒシヒシと感じる。

実際に、この「WhiteMagic」は、相当スゴイらしい。

●白い魔術で消費電力を4割カットしつつ見やすさ(視認性)もアップしている
すこし技術的な話になるが、液晶は「赤」「緑」「青」の3色の光を組み合わせて色を出している。ドットが粗かった昔のブラウン管テレビを知っているひとなら、ブラウン管のドット(点々)の3色を肉眼で見た経験を持つ人もいるだろう。

ところが「WhiteMagic」では、従来の「赤」「緑」「青」に加えて、「白」の光を追加しているのだ。この「白」を新しく増やしたことで画面の明るさが大きくアップさせることに成功したのだ。さらに「赤」「緑」「青」全てのドットを光らせて明るさをアップさせている従来型より、同じ明るさで消費電力を40%も低減できる。スマートフォンの中で大きなバッテリー食いのディスプレイが4割も消費電力になれば、バッテリー持ちもアップするのも当然だ。

●え?実は富士通独自の技術ではなかった
実はこの「WhiteMagic」は富士通独自の技術ではない。確かに昨年より「WhiteMagic」を採用しているスマートフォンは富士通製なのだが、こりゃ一体、どういうことだろう。

実は、このディスプレイ技術を開発したおおもとはソニーなのだ。(現在はソニー、東芝、日立製作所のディスプレイ事業を統合したジャパンディスプレイが開発、製造)事実、ソニーのデジタルカメラや海外向けXperiaにも、この技術は採用されているのだ。意外なところで、技術提携ってされていたのには、驚くばかりだ。

そして、その「WhiteMagic」を国内スマートフォン向けに採用したのが「富士通」ということなのだ。ひょっとしたら、高速通信や高機能CPU、大容量ゲームなどバッテリー消費の激しいスマートフォンと非常に相性の良い「WhiteMagic」ディスプレイだけに、国内向けXperiaにもいつ採用されてもおかしくないのかもしれないと、筆者はドキドキしたりする。

●スマホディスプレイの王者シャープのIGZOとはどう違うのか?
今や、低消費電力ディスプレイといえばシャープのIGZOが有名だ。こちらも消費電力が非常に少ないことで知られている。
「IGZO」と「WhiteMagic」はどのように違うのだろう。

「IGZO」
・映像などが停止しているなど、画面の更新が必要無い場合、省電力化される(液晶アイドリングストップ)
・トランジスタが小型化され、光が通りやすくなる。結果、少ない電力でも明るくできる

「WhiteMagic」
・新しく「白」の画素を入れてディスプレイ全体の明るさを向上
・同じ消費電力でもより明るくし、屋外での視認性も向上させる

ざっくりと言ってしまえば、この2つの技術、同じ省電力に長けているのだが、似ているようで、かなり違う。
メールを読んでいる時や画像を見ているときなど、画面に動きが無い場合の消費電力節約に長けているのは「IGZO」。全体的に電力を節約しつつ明るくしましょうというのが「WhiteMagic」とでも言えるだろう。

つまり、電子書籍など本をよく読む、メールを読むことが多い場合は「IGZO」、一方、ゲームをする、動画を観るたりするなどアクティブに利用する場合は「WhiteMagic」のほうが向いているようである。

どちらも今を代表する素晴らしい液晶技術なのは間違いない。しかも、その技術を支えているのは我が日本の企業である。
これからもディスプレイの消費電力節約は大きな課題になるうえで、シャープもジャパンディスプレイもぜひ頑張ってほしいものだ。

ちなみに、「IGZO」vs「WhiteMagic」はイーブンということで。


布施 繁樹