長谷部誠が検証する
ザックジャパンのW杯(4)

 グループリーグ突破をかけた第3戦のコロンビア戦で、日本代表は1−4と大敗。グループ最下位に沈み、ブラジルW杯を終えた。主将としてチームをまとめてきた長谷部誠は、厳しい表情でこう語った。

「残念というか、悔しいですね。自分はこのチームのキャプテンとしてやってきたので、結果を残せなかったことについて、責任を強く感じています」

 コロンビア戦の前日、長谷部は「(日本は)勝つしかないので、気持ち的にはすっきりして挑めます」と、逆境にあっても自分たちの力を信じて、力強いコメントを残していた。

 その言葉どおり、日本はコロンビア戦で積極的な姿勢を見せた。序盤こそ、8人ものメンバーを代えた相手の出方をうかがっていたが、前半10分にFW大久保嘉人のタテパスからチャンスを作ったのをきっかけにして、日本本来の前への勢いを取り戻した。

 前半17分、PKでコロンビアに先制点を許しても、怯むことはなかった。果敢に攻め続けて、その姿勢が前半ロスタイムのFW岡崎慎司の同点ゴールに結びついた。

「前半は、最後に追いついて、いい形だった。(控え室では)後半も、前半のような戦い方をしよう、という話をしていました」

 だが後半、コロンビアが過去2試合で2得点を記録しているMFハメス・ロドリゲスを投入。エースの投入でコロンビアは勢いを取り戻し、スタジアムの空気まで一変させてしまった。そして後半10分、ハメス・ロドリゲスがチャンスを演出して、コロンビアが勝ち越しゴールを奪った。

「ハメス・ロドリゲスは、うまかった。真ん中にいたり、サイドにいたり、彼が攻撃の起点になっていたし、(コロンビアの)2点目も彼のドリブルからだった。もっと、彼がボールを持っているときに厳しくいくべきだった......」

 2−1と再びリードを許して、日本の勢いは完全に削がれたかに見えたが、選手たちはそれほど落ち込んでいる様子はなかった。長谷部が言う。

「まだ、早い時間帯だったんでね。自分たちのサッカーができれば、まだ逆転するチャンスはあると思ったし、それだけの力が(日本には)あると思っていたので、とにかく顔を上げてやろう、と。そう、みんなで話した」

 日本はその後も攻撃的にいったが、2点目を失ったことは、やはり大きかった。点を取るためには、リスクを負って前に出ていかなければならない。すると必然的に、ハメス・ロドリゲスらコロンビアの攻撃陣にスペースを与えてしまうことになった。結果、カウンターを食らうと、大ピンチに陥った。

 後半37分には、カウンターから3点目を献上。さらに45分にも、ハメス・ロドリゲスにゴールを奪われた。3点目を奪われたあとには、43歳になったコロンビアのGKファリド・モンドラゴンが、W杯最年長出場記録を達成するために交代出場。日本にとっては、屈辱的な敗戦となった。

「自分たちは、最後まで顔を上げて戦おうと思っていたし、攻める姿勢を最後まで貫いた。(1−4の大敗は)その結果だったんで、その部分に関しては、悔いはないです」

 長谷部は、前がかりとなった日本の攻め方については後悔していなかった。しかし、グループリーグを突破するため、日本サッカーの礎(いしずえ)を築くために必要だった、勝利は得られなかった。結果を出せなかったことを問われると、長谷部は鎮痛な表情を浮かべて、こう言った。

「僕らは、大会を迎えるにあたって、最高の準備をしたと思うけど、そういう中でこうした試合しかできなかったのは、W杯の初戦で、ナーバスな(守りに入るような)試合への入り方をしてしまったからだと思う。それは、昨年(6月)のコンフェデレーションズカップ初戦のブラジル戦でも起きていたこと。結果として、その経験を生かすことができなかった。それは、言い訳ができないことだと思う」

 初戦のコートジボワール戦(1−2)の悪い流れを引きずってしまったのもあるだろうが、続く2戦目のギリシャ戦(0−0)では、相手がひとり少ない状況にもかかわらず、最後まで崩し切れなかった。コンフェデレーションズカップでは、イタリア(3−4)と互角に打ち合うこともできたが、今回はそうした試合もなく、余りにも寂しい内容と結果になってしまった。

 長谷部自身は、コートジボワール戦が54分、ギリシャ戦が45分の出場で、コロンビア戦はフル出場を果たした。大会直前のアメリカ合宿では、負傷の影響もあって、テストマッチ2試合には出場しなかった。それゆえ、本大会では出場機会もかなり減るのではないかと思われたが、3試合すべてのピッチに立った。個人的には、やり切った感はあったのだろうか。

「それは、難しい......。自分はこの4年間、このW杯のためにやってきただけに、この結果は非常に残念、としか言いようがない。ただ、今回わかったこともある。サッカーは世界の文化であって、強豪国はサッカーが文化として根付いている。これから日本が強くなるためには、選手が成長していくのが大前提ですけど、W杯のときや代表の試合だけでなく、日頃から多くの人たちに日本のサッカーを厳しい目で見てもらわなければいけない。それが(サッカーを)文化として根付かせていく。そういうことも、重要だと思います」

 ブラジルW杯で世界の厳しさ、本物の強さを改めて痛感した長谷部。彼が今後、国内外へ伝えていくべきことは、決して少なくないはずだ。

佐藤 俊●文 text by Sato Shun