グーグルは、1998年にスタンフォード大学の院生だったラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が新しいネット検索エンジンの技術を引っさげて創立した。2000年代半ばには「検索連動型広告」という金脈を掘り当て、現在の売り上げは年4兆円を超える。

 ITに詳しい『ビジネスメディア誠』の吉岡綾乃編集長によれば、「世界中の情報を整理して、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることが社是」であり、事実、地図や世界中の書籍・美術品をデジタル化するなど、地球上のありとあらゆる情報をかき集め、情報の世界で覇権を握ってきた。

 しかし、そんなグーグルにも転機が訪れる。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏はいう。

「フェイスブックやツイッターなどのSNSで情報が流れるようになり、インターネット検索の需要が減っている。いずれ検索連動型広告のビジネスが成り立たなくなる恐れがあり、莫大な資金を投じて新ビジネスの種を探しているのがいまのグーグルです」

 そこで、同社はネットからリアルの世界へと一気に舵を切った。いま、グーグルが実現しようとしている未来は、まるでSF世界そのものだ。

 例えばもっとも注力しているひとつが自動運転車だ。実験では無事故で113万km以上を走破。5月に発表した新プロトタイプは、ハンドルもアクセルもブレーキもなく、目的地を告げるだけで人を運んでくれる。

 既存サービスであるストリートビューのように、カメラを搭載した自動運転車が世界中に普及すれば、町の状況がリアルタイムに更新されていく地図サービスも実現するはずだ。

 グーグルグラスは、ヘッドマウントディスプレイに情報が表示されるウェアラブルコンピューターで、道案内やメール送受信、写真・ビデオの撮影などができる。まるで人とスマホが一体化したかのようである。

 そんなグーグルが取り組むプロジェクトの極めつきが「不老不死の研究」だ。2013年9月に医療ベンチャー「カリコ」の設立を発表し、医療とアンチエイジングの分野に参入。さらに、会長のエリック・シュミット氏は遺伝子検査企業「23andMe」に約4億円を出資し、人間の遺伝子研究にも踏み込んでいる。

 一方、これらの研究には批判の声があるのも確か。グーグルグラスやストリートビューはプライバシー侵害が度々問題になっており、ヒト型ロボットは映画『ターミネーター』に出てくる無人攻撃システム「スカイネット」を彷彿とさせ、軍事転用が危惧される。それでもグーグルは研究開発のスピードを緩めようとしない。

 シュミット氏は、著書『第五の権力』のなかで未来社会を「ロボットが掃除や洗濯を代行し、携帯電話が健康を管理し、病気になれば人工臓器に取り換え、休日にはホログラムのビーチで休養する」と想像している。そういった技術をグーグルが一手に握れば、個人の行動から遺伝子配列まで、すべての情報をグーグルが集積することにもなる。

※週刊ポスト2014年7月4日号