『ザッケローニの哲学』(PHP研究所)

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「自分たちのサッカーができなかった」

 FIFAワールドカップブラジル大会第3戦。ギリシャが勝利したため、勝てばグループリーグを突破できた日本代表だが、結果は1.5軍のコロンビアに1-4の惨敗。成績ももちろんだが、選手の口から出てくるコメントも、2006年ドイツ大会のデジャヴのようだった。唯一の違いは、ブラジル大会では内部分裂が起きていないこと。ドイツ大会では、のちにジーコ監督が「腐ったミカン」と表現した選手を中心に、数人がチームにそっぽを向いてしまった。だが、ザッケローニ監督率いる日本代表にも、火種がなかったわけではない。サッカー関係者は次のように話す。

「ドイツ大会でチームが崩壊したのは、日本サッカー界最大の事件でした。ゆえに、以降はチームとしての一体感を高めることが重要視され、選手にはチームに対して献身的であることが求められた。実際、“腐ったミカン”と評された選手はその後、代表に選出されていない。今回、チーム内から不満がこぼれなかったのは、不満がなかったわけではなく、そういう空気が影響していることが大きい」

 実際、ザッケローニ監督に対する戦術的な不満はピークに達していた。本田圭佑に至っては、試合後の記者会見でパワープレーに疑問を呈したくらいだ。そして、それよりも根深い問題となっていたのが、大久保嘉人の起用法だ。

「大久保のワントップはありだと思いますが、右サイド起用には、選手たちもやりづらそうでしたね。というのも、右サイドは、一度、ワイドに張り、そこから中に入るのが今までのやり方でした。しかし、大久保は中央に早い段階で入る。さらに、おとりの動きより、ボールを欲しがる。異質な存在だけに、グループリーグで目立ちましたが、チームのバランスは崩れていた。彼が所属する川崎フロンターレでの役割とは、あまりにも違ったんです。大久保との不仲説が流れた選手もいましたが、こういった火種があっての報道でした」(サッカーライター)

 また、ザッケローニ監督と本田の蜜月関係にも、周囲は違和感を覚えていた。

「本田が、90分間プレーできるコンディションではなかったのは明らかです。普通に考えて、途中交代か途中出場にするべき。にもかかわらず、3試合フルで使い、一方で香川真司は途中交代。確かに本田は1得点1アシストですが、失点にも絡んでいる。また、本田がボールを奪われるシーンも多かった。今まで彼は周囲に散々要求してきましたから、今後、不満が出てもおかしくないでしょう」(同)

 試合で結果を出せず、内容も今ひとつだったブラジル大会。同様の結果だったドイツ大会では、その反動から、内部事情が暴露されたのは記憶に新しいが、今回もそのような流れになるかもしれない。