決起集会を経て、日本代表が最終決戦に向け調整…コロンビア戦ではメンバー変更の可能性も

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 24日のコロンビアとの最終決戦(クイアバ)を前に、3日前のトレーニングをオフにするという異例の決断を下した日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督。21日夜はイトゥ市内のシュラスコ屋で決起集会を行った。同会には体調不良の酒井宏樹(ハノーファー)を除くチーム全員が参加し、思い切り肉を食べて英気を養った。その効果もあったのか、22日の15時半から行われたトレーニングでは、大久保嘉人(川崎)、青山敏弘(広島)らから爽やかな笑顔がこぼれるシーンも見られた。

 だが、大黒柱の本田圭佑(ミラン)は、依然として厳しい表情をしていることが多かった。この日の日本代表は、酒井宏樹を含む23人全員が参加。彼らは5人1組でのボール回し、ビルドアップからのシュート練習などからトレーニングに入ったが、その間に本田が白い歯をのぞかせたのはボールに触っているわずかな時間だけ。それだけ今のチーム状態を深刻に捉えているということだろう。

 練習後のメディア対応に現れた本田は、「自力で突破することはできなくなったけど、今は奇跡を信じてますし、コロンビアに勝つことに集中している。上を目指すという自分が発言してきた信念を曲げるつもりはないし、それがあったから頑張れる。自分自身を信じて、仲間を信じて、今だからこそ基礎に戻るべき時だと思ってます」と、彼はコロンビア戦を自身のキャリアの集大成にするために、全てを出し尽くすという強い覚悟を口にした。

 本田を筆頭に、限られた可能性を信じて突き進もうとしている日本代表。この日の練習の冒頭部分を見る限りだと、さらなるメンバー入れ替えがあるかもしれない。ビブス組には内田篤人(シャルケ)、今野泰幸(G大阪)、吉田麻也(サウサンプトン)、酒井高徳(シュトゥットガルト)、山口蛍(C大阪)、青山、大久保、本田、香川真司(マンチェスター・U)、柿谷曜一朗(C大阪)が入っており、この陣容が次戦のベースになる可能性も少なからずある。酒井高徳のところは順当に長友佑都(インテル)が出るだろうが、ボランチに青山、1トップに柿谷が起用される可能性は十分にありそうだ。

 実際、この2人は昨夏の東アジアカップ(韓国)優勝の原動力になっており、ザック監督が彼らのタテへの鋭さに期待を寄せてもおかしくない。「今大会はスピードが足りない」と危惧する指揮官が求める素早い展開、そして裏への動きを青山・柿谷コンビはもたらせるだろう。

 ザック監督はギリシャ戦で、これまで攻撃の軸に据え続けてきた香川を先発から外しており、ここまで2試合シュートゼロの岡崎慎司(マインツ)を外す決断をしたとしても全く不思議はない。中心選手を代えてでもチームがポジティブな方向に変化するなら何でもやりたいというのが、今の指揮官の心境ではないだろうか。

 さらに言えば、クイアバはイトゥとは比べものにならないほど気温が高い。試合日の24日もキックオフ16時の気温は33度にも達する見込みで、走れるフレッシュな人材の力が必要になってくるのは間違いない。

 土壇場に追い込まれた迷える指揮官は、果たして誰を抜擢するのか。日本代表を救うラッキーボーイは現れるのか……。とにかく、本田が強調したように、彼らには奇跡を起こすべく、最高の戦いをしてもらいたい。

文=元川悦子