ネットの薬販売解禁!すべての薬が買えるの?利用する上で知っておくべき危険と注意点

写真拡大

6月12日に改正薬事法が施行され、薬をネットで買うことができるようになった。今までもビタミン剤や整腸薬などはネットでの販売が認められていたが、今回は、そのほかの一般用医薬品の販売も認められたのだ。

●ネットではどんな薬が買える?
一般の薬局で販売されている薬は、副作用などのリスクの度合いにより、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の3種類に分類されている。

これまでネット販売は一番リスクが少ない「第3種医薬品」だけが認められていた。それが今回の新しい薬事法では、残りの2種類の薬品についてもネットで販売できるようになった。

今回の改正薬事法ですべての薬品がネットで購入できるかといえば、厳密には「すべて」ではない。劇薬や、まだ副作用のリスク評価が定まっていない薬など、20種類が新たに「要指導医薬品」と位置づけられ、これらの薬品には薬剤師による対面販売が義務づけられたので、ネットでの販売はできない。とはいえ、現在販売されている約99.8%の市販薬は、ネットを通じて買うことができるようになったのだから、「ネットで薬が買える」と言っても過言ではないだろう。

●薬のネット販売は何が便利?
薬のネット販売のメリットはと言えば、なんと言っても24時間、どこででも注文できるということだ。

忙しくて薬局による時間がない、近くに薬局がないという人にとってはありがたい。また、痔や水虫の薬、妊娠検査薬など、ちょっと人前や対面販売で買うのは恥ずかしい薬も気軽に買うことができる。


●薬のネット販売は何が不便?
逆にデメリットには、薬がすぐには手に入らない(届かない)ことだ。症状が出てから薬を注文したのでは間に合わない。また、自己判断で薬を選ぶので間違った薬を買ってしまう可能性もある。このほかにも、薬物依存や乱用の危険性のある薬の大量購入や、価格競争による粗悪品や偽薬が出回る可能性を懸念する声もある。

●知られない?意外と面倒な薬のネット購入
ネットの薬販売は、一般の食品や洋服などのネット通販と同じように、薬を選んでカートに入れて注文すればOK!と思っている人も多い。しかし、それは「第2類医薬品」「第3類医薬品」だけで、「第1類医薬品」については、そう簡単には購入はできないのだ。

まず、注文する際には、性別や年齢、症状、持病の有無などの必要情報を販売者にメールやサイト上のフォームで送信する必要がある。調剤薬局に初めて行った際、専用の用紙に記入を求められるが、あれとだいたい同じ内容だと思ってくれればいい。これに対し、薬剤師が医薬品の用法や用量、注意点などの情報を提供し、購入者が理解した旨を返信して始めて発送ということになる。

つまり、対面販売ならその場で済むことが、ネットの場合は、逆にやりとりに時間がかかってしまうわけだ。近くに薬局があるならば、サッと行って買ってくる方が手っ取り早いわけだ。


ネットでの薬販売は、誰もが手軽にできるわけではない。
実際に店舗を有する薬局や店舗販売業の許可を持った販売業者だけに限られている。これらの資を満たす業者が、都道府県に薬のネット販売サイトURLを届け出し、許可がおりて初めてはネットで薬販売が可能となる。

実は、インターネット上には、許可を得ていない違法な販売サイトや、薬事法で承認されていない薬や偽造薬品を販売しているサイトもあるのだ。

薬は健康や生命にかかわるもの。購入する際にはくれぐれも注意して欲しい。
なお、厚生労働省では、こうした違反サイトの情報提供を呼びかけている。怪しいサイトを見つけたら、すぐに「あやしいヤクブツ連絡ネット」に通報しよう。

★許可を得ていない違法な販売サイトの見極め方

実際に許可がおりているサイト(業者)の一覧は、厚生労働省の「一般用医薬品の販売サイト一覧」で確認することができる。また、許可がおりているサイトには、厚生労働省が規定する以下の事項の表示・掲載が義務づけている。実際に購入する際には、サイトで必ずチェックして欲しい。
1.トップページに店舗の名称を表示すること
2.実際の店舗の写真を掲載すること
3.勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載すること
4.許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載すること
5.営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載すること

厚生労働省「一般用医薬品の販売サイト一覧」
厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」