<日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 最終日◇21日◇宍戸ヒルズカントリークラブ・西コース>
 茨城県にある宍戸ヒルズカントリークラブで開催された国内男子メジャー「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」最終日。首位タイからスタートした竹谷佳孝が圧巻のバーディラッシュでプロ9年目にしてツアー初優勝を果たした。
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 初めて首位で迎える最終日。会場入り後はいつもと変わりなくアプローチ練習を繰り返した後、ドライビングレンジでショットを確かめた竹谷。「昨日も眠れましたよ。9時半に寝て、でも緊張で3時半に起きました。それでも睡眠はばっちりです(笑)」と笑顔。最終日最終組という緊張も楽しんでいる様子だった。対して緊張を隠せていなかったのがここまで二人三脚で宍戸を攻略してきたハウスキャディの志築美香さん。「こういう経験はほとんど無いので緊張してます」とドキドキ。去年と同じキャディということをニュースで見たという竹谷の両親、兄から挨拶をされるも顔はガチガチのままだった。しかしスタートが近づく頃には顔が引き締まり、良い緊張を持ったまま1番ホールに向かっていった。
 バーディショーの幕開けは2番ホール。「これを決めて今日もパターで行くしかないと思った」と1段下がったところからの10メートルからのバーディパットを沈めると、フックにスライスにと3番、5番でもバーディ。しかし、7番、8番と連続でボギーを叩き、じわじわとスコアを伸ばしていたイ・サンヒに追いつかれてしまう。
 しかし、次の9番のセカンドショット。ここは去年のこの大会でバンカーに入れ目玉となった嫌な記憶の残る場所。竹谷はそれでもピンを攻めたいと感じていたが、志築さんから帰ってきた言葉は「パターで戦って行きましょう」。この言葉を聞き2つのボギーで忘れかけていた「今日はパターで行く」という気持ちを思い出す。セカンドショットで無理をせずピンの左7メートルにつけると、そのパットを自分に喝を入れるかのような強めのパットで沈めガッツポーズ。バーディでフロントナインを締める。
 後半に入ると好調のパッティングに引っ張られるかのようにショットも冴え、折り返しての13番まで5連続バーディで2位以下を一気に引き離した。特に11番ではイ・サンヒ(韓国)の放ったセカンドショットがラフの奥深くに入ってなかなか見つからず5分以上パッティングまで時間が空いたが、集中力を切らすことなく4メートルのパットを沈めた。
 そのまますんなり行くと思われた竹谷だが、14番で4メートルのバーディパットをカップに蹴られると徐々に暗雲が立ち込めてくる。竹谷曰く「ここからは僕にとってアーメンコーナー」という続く15番では5メートル、16番では2メートルのバーディパットを外すと、イが13番から3連続バーディで2打差に。さらには17番では1メートルのパーパットを外し、1打差で最終ホールを迎えることとなった。
 「リードを考えず自分のできることをやりきるしかないな」と思いながら放った18番のティショット。またしても大きく左に曲げ、林の中に入ってしまう。なんとかリカバリーして8メートルの位置まで持ってきたパーパット。決めれば優勝となるパットだったが無常にもカップに収まることはなく、イがパーで回り同スコアでホールアウトした。
 ところがアテストでイが協議となっていたが「なんの協議かは分からなかった。それよりも自分としてはやりきれなかった18番、プレーオフで借りを返したい」とパッティング練習場へ向かう。その後、イのルール違反2打罰を伝えられ優勝が決まった。思いがけない形での優勝となったが「複雑な思いもありますが、素直に嬉しい」とコメント。
 今大会はとにかくパットが入った。それは本人も驚くくらいで「パターが得意ってだけではここまで入らないと思います。今日は神様が入れてくれたのか良く入りました」。そんな竹谷がパッティングで意識していることは「カップに入れることよりも狙ったところに打つこと」だ。
 しかし、ここからは感覚を大事にしている「あそこに打てば入るなという感覚はある。それが見えたときは集中してそこを狙うこと」。今日の13番では志築さんから「タッチで行きましょう」と言われたが、いざアドレスに入ると「なぜか入るんじゃないかなと思って。タッチの距離よりも雰囲気でそれ以上打ったら入りました」と感覚で掴んだ5連続バーディだった。
 今日は両親、兄に加えて愛する妻と子供たちも応援に来た。「女は男の職場に行ってはいけない」という家系で育った妻がゴルフ場に来るのは初めて。最初はどうしようかと悩んでいたが、職場の人たちから応援を薦められて来場を決めた。まだ子供が小さいためギャラリープラザにあるモニターでゴルフをする夫を見守った。
 子供はまだ小さいが自身も働き家計を支えている。夫はプロ2年目に結婚して今年やっとシード権を獲得、そしてツアー初優勝を果たした。ここまで来るのに時間はかかったが「結婚するときにこれから大変だなとは思わなかったです。ただ毎年QTでドキドキするのは嫌だなと思っていました。優勝できて本当によかったです」と夫婦二人三脚で掴んだ初優勝だった。
 「ここからが本当のスタート」という竹谷、今後の目標は国内ツアー賞金王「夢に近い・・・かもしれないですけど頑張りたいです。そして毎年毎年残っていける選手になりたい」。竹谷の最大の武器である、ギャラリーから「ガッツポーズまでがルーチンだね」とさえ言われるパッティングなら夢が現実になる日もそう遠くないだろう。
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