悲報「ギリシャ戦ドロー」を伝えたNHKアナの、ブレない仕事っぷり
 グループリーグ第2戦のギリシャ戦が引き分けに終わり、予選突破が非常に厳しい状況になった日本代表。退場者を出し10人になったギリシャ相手に再三ゴール前まで攻め込みましたが、まさかのQBK(急にボールが来たので)連発。大会前、遠藤保仁選手は「チームの雰囲気がドイツ大会のときに似ている」と語っていましたが、その悪い予感が的中してしまった格好です。

 この試合結果を受け、NHKのBS1でスタジオ解説を務めていた関塚隆は手の込んだヘアスタイルで意気込んでいたにもかかわらず、潤ませた目が虚空を泳ぐのみ。その隣には「なぜここに日本維新の会の中田宏議員が?」と思ったら、元日本代表の戸田和幸でした。

 一方、民放でこの一戦を中継した日本テレビはさらにシビアな状況でした。進行を務めた桝太一アナウンサーは、一刻も早くこの時間が過ぎてほしいといった祈りが顔にあらわれ気もそぞろ。解説の北澤豪にいたっては、もはや腰に力が入らずもう少しで床に突っ伏してしまいそうな落ち込みよう。なぜかパネリストとして出演していた作曲家のヒャダインも顔をセメダインで固められたように表情が引きつっていました。

 そんな絶望の底に叩きつけられたような状況にありながら、皆一様に「まだ可能性はある」とひたすらに繰り返すのは、NHKも日本テレビも一緒でした。しかしその言葉が繰り返され、スタジオに言霊が堆積されればされるほどに、なぜか気持ちに厚い雲がかかってくる。表情から生気を失ったそれぞれの出演者は、やはり正直です。

◆まるでGDPの速報値でも報じるように……

 そんな中、NHKのBSニュースでこの試合結果を読み上げた長野亮アナウンサーは見事でした。試合終了後、ハイライトや選手、監督のインタビューも早々に切り上げられBSニュースが始まると、冒頭で長野アナはこの奇妙な文章を読み上げたのです。

「日本代表は第2戦のギリシャ戦を引き分け勝ち点1を獲得。グループリーグ最終節コロンビア戦に予選突破の望みをつなぎました」。

 まるでGDPの速報値でも報じるように、普段の仕事と何一つ変わらないトーンでした。

 代表の置かれた厳しい状況に関する説明は一切ありません。数字上誤りのない事実として報じても支障のない内容だから報じているに過ぎない。何が悪い。長野アナは実に堂々としていました。もしかしたら本当に予選突破できるかもしれないと危うく信じてしまうところでした。

 試合後、長友選手がインタビューを受けていました。インテルミラノでキャプテンマークを巻いた選手らしい、余裕たっぷりの受け答えでした。とても、予選突破に向けてとうとう後がなくなったチームの一員とは思えない、堂々とした態度でした。そんな長友選手の姿と、BSニュースの冒頭で長野アナが読み上げた文章は、やはり奇妙であるという点で一致しているように思えるのです。

<TEXT/沢渡風太>