【うちの本棚】218回 ふたりの回転木馬/立原あゆみ

写真拡大

 「うちの本棚」。今回は少女漫画を描いていたころの立原あゆみの代表作『ふたりの回転木馬』を取り上げます。

 70年代に描かれた少女漫画の名作のひとつと言っていい本作。その感動はいまも色褪せません。

【関連:217回 ファラオの墓/竹宮恵子】

TACHIHARA_AYUMI_01

 現在では少年誌・青年誌を中心に活躍し、任侠作品で知られている立原あゆみだが、70年代後半から80年代初頭にかけては少女漫画家として活躍していた。
その代表的な作品がこの『ふたりの回転木馬』で、初出後「プチコミック」で総集編が編まれたあと本書の刊行、あまり時間の経たないうちに主婦の友社からもハードカバーで刊行されていた。
一口に言うと同棲モノ(中盤でふたりは結婚するけれど)で、初出誌の「JOTOMO」は「女学生の友」としてスタートした雑誌で「少女コミック」よりもお姉さん的な性格を持っていたが、主人公の妊娠など内容的には背伸びした雰囲気の作品だった。
個人的には初出時に読んだわけではなく「プチコミック」の総集編で初めて目にしたのだが、絵柄も内容も気に入り、単行本も発行されるとすぐに手に入れた。

 まゆみという女性のような名前の少女漫画家とそのファンの美絵というふたりの主人公。まゆみは美絵を主人公に『ふたりの回転木馬』という作品を描き始める。微妙に現実と創作が交錯するところもこの作品の魅力だろう。
ぼろアパートでパンの耳をかじりながら、それでも幸せな生活をするふたりという、70年代的な作品だと思うがそれゆえに漫画史に残しておきたい作品のひとつだといえる。
単行本一冊、4章から構成される作品で一気に読めてしまうが、主人公ふたりの愛の物語の内容は濃く、切ないラストシーンは読後感をさらに印象的なものとして記憶に残るだろう。まだ読んだことがないという方は、ぜひ機会を見つけて読んでいただきたい作品だ。

初出:小学館「JOTOMO」1976年2月号〜

書 名/ふたりの回転木馬
著者名/立原あゆみ
出版元/小学館
判 型/新書判
定 価/320円
シリーズ名/フラワーコミックス
初版発行日/昭和53年1月20日
収録作品/ふたりの回転木馬

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/