『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』6月21日公開 ©2014『円卓』製作委員会

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『世界の中心で、愛をさけぶ』(’04)、『パレード』(’10)などの行定勲監督が人気作家・西加奈子の同名小説を映画化した『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(6月21日公開)が、公開前からマスコミや映画評論家の間で早くも話題に。先ごろ行われた第17回上海国際映画祭でも、世界中の映画メディアから絶賛されたという。

映画は孤独に憧れ、時には大人顔負けの深〜いため息までついちゃう小学3年生の風変りなダークヒロイン・琴子=通称“こっこ”の成長物語。こっこを天才子役の芦田愛菜ちゃんが演じているのも話題だが、人気と好評の理由はただ“愛菜ちゃんが可愛いから”ということだけではなさそうだ。

そこで「ウレぴあ総研」では「満足度調査」を急遽実施。6月1日(日)の試写会に来場した観客の方々にアンケートに協力してもらったところ、満足度はなんと70〜100点の高得点ばかり。100点と書いた人も結構多くて、満足度の平均は軽〜く90点超え! 噂は本当だった。いったい、みんな、映画のどこに心動かされたのだろう? アンケートを参考にしながら、独自に分析してみると……。

最も多く見られたのは「懐かしい」という意見だ。

「懐かしい。分からないことがたくさんあって、好奇心旺盛だった小学生のころの自分を思い出させてくれた」(40代・男性)

「大人になると忘れてしまうようなことを思い出させてくれて、ほっこりできました」(40代・女性)

このように自分のあのころと重ねて「懐かしい」気持ちになった人が多いようだが、本作とこっこが多くの人々を魅了するのは決して「懐かしさ」だけが理由ではないような気がする。ただ郷愁を誘うだけの映画だったら、そんなに観る者の心はざわつかない。

「最後のこっこの成長した姿には私、いや、大人の方が共感して泣いてしまう。子供向けではなく、どの世代にも受け入れられる侮れない作品だと思います」(30代・女性)

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そんな意見からも分かるように、これはノスタルジーを味わう映画ではなく、いまを生きる我々に投げかけられた現在進行形の映画。だから、かつてこっこと同じ小学三年生を経験したすべての大人の心に響くのだ。

こっこは自分がカッコいいと思ったら、「カッコいい」とストレートに口にする。自分が嬉しくないと思ったら、「嬉しくない」と素直に言葉にする。自分の心に正直に、分け隔てのない純粋な心だけで物事と対峙していく。

そんな彼女が、目の前に次々に起こる新しい出来事や疑問をジャポニカ学習帳に書き込み、そのひとつひとつと真剣に向き合い、格闘し、自らの答えを導き出そうと姿に観る者はあのころの自分を重ねるに違いない。

いや、重ねるだけでなく、その問題を彼女の気持ちになって我が事のように考え始めている。

こっこになりきった芦田愛菜の迫真の演技がそうさせるのだ。

「今までは優等生っぽいイメージの愛菜ちゃんだったけど、この作品ではイキイキとしていて元気で、活発なところが観られてすごくよかった」(40代・女性)

「愛菜ちゃんの演技がとても自然なのがいい」(30代・女性)

これらのアンケートからも分かるように、本作の愛菜ちゃんはテレビドラマなどで見せてきたこれまでの彼女とは違い、兵庫県出身ならではの歯切れのいい関西弁を炸裂させ、まさに女優としての自然な芝居で観る者の目を釘付けにする。それに圧倒される。

めくるめく多彩な表情、怒りをテーブルに叩きつけてその場を離れるときの絶妙なアクション……その間と動きに嘘がないから思わず見入ってしまう。

とりわけ、優しいおじいちゃん(平幹二朗)や親友のぽっさんから「相手の気持ちを想像してごらん」と言われてからの彼女は凄まじい!

自分の気持ちと想像力とを心の中で上手く消化ではなくて、涙目でご飯をかき込むクライマックスの険しい表情がとにかく圧巻だ。現実と向き合っているその姿がいじらしくて、真に迫っていて、そこには本物の感情が流れている。

そして、そんなこっこを見ていてふと気づくのだ。あのころは、自分もいろいろなことに真剣に向き合い、彼女のように懸命に格闘していたのに、大人になるに連れて、仕事や目先のこと以外の社会や現実についてあまり真剣に考えなくなってしまったということを。

いや、大人になった私たちは、薄々分かっていたのに、気づかないふりをしてきただけなのだ。便利な社会の中で与えられる情報だけを鵜呑みにし、考えることや想像することを放棄し、楽な選択ばかりをするようになってしまった。そんな後ろめたい心を、こっこが「ボケ、まだ間に合う!」と刺激するから、観ている特に大人は焦るし、動揺する。こっこに起こる一大事を知らず知らずのうちに自分の問題として考える中で“このままではマズい”と思うようになるから、大きな共感を得ているのだろう。

家族の素晴らしさ、“イマジン”=相手の気持ちを考えることの大切さ、大人になるに連れて忘れてしまった大切なもの、命の尊さ……いろいろなメッセージが詰まった本作から何を受け取るのかは、映画だから、もちろん観た人に委ねられている。

さあ、あなたは『円卓』を観て何を感じ、どんな想いにかられるだろう?
こっこに「このボケ!」と怒鳴られるようなつまらない大人になりたくなかったら、この映画は観ておいた方がいいかもしれない。