苦し紛れのパワープレー…麻也「悔しくて仕方がない」

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[6.19 ブラジルW杯C組 日本0-0ギリシャ ナタル]

 後半40分を過ぎたころ、再びベンチから指示が飛んだ。DF吉田麻也(サウサンプトン)が前線に上がる。14日のコートジボワール戦に続いて見せたパワープレーだったが、高さに絶対の強さを持つギリシャ守備陣に跳ね返され、最後までゴールをこじ開けることができなかった。

「悔しいです。試合が終わっても、悔しさが残っている。悔しくて悔しくて仕方がないけど、次の試合がある。まだ終わってないし、わずかな可能性に懸けるためには、次、勝つしかない」

 試合後の吉田は悔しさを隠せずにいた。「相手は一人減って、より守備的になった。ポゼッションできた反面、こじ開けるのは難しくなった」。終盤は自らゴール前に上がった。何とか1点が欲しかった。

「ほとんど自分たちがボールを持っていたし、クロスも上がっていたけど、中の枚数が少なかった。あれだけ相手も引いていたから、後ろを1枚減らしても前を増やしたいと思ったのでは」

 吉田は指揮官の意図をそう理解したが、試合後の記者会見ではアルベルト・ザッケローニ監督に「なぜ、やらないと言っていたパワープレーをやったのか?」という質問も飛んだ。

「やらないと言っていたことをやったということではない。私たちは4年間、一つの方向を目指して進んできた。テクニックと速攻で攻める。それを変えるようなことはしなかった。前の試合と今日の試合は、とにかくプレーにいつものスピードがなかった」

 本来のプレーができなかったために取ったパワープレーという苦し紛れの手段。しかし、練習でも実戦でもほとんど試していない“奥の手”は、選手に戸惑いも与えていた。

 MF遠藤保仁は「(吉田)麻也に上がれという指示があるなら、明確なパワープレー。それは切り替えてやるしかない」と話す一方、「一番手っ取り早い方法だとは思うけど、パワープレーは紙一重。セカンドボールを拾われて、相手の速攻を受けることもある」と、そのデメリットも口にする。ベンチとピッチ上の選手との温度差。W杯本番の舞台でのぞかせた指揮官の迷いは、混乱を生むだけだ。

(取材・文 西山紘平)