テクノロジーとインターネットは、とてつもない速度で進化し、世の中を変えています。今では私たちの社会はウェブ抜きでは成立しません。今後、そんな我々の社会はどのようなものになるのでしょうか?

 黎明期から日本のネット文化の中心で活躍してきた株式会社インフォバーン代表取締役CEOの小林弘人さんは、新著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』の中で、端的にこう予測しています。

「もともとウェブ空間はリアル社会の複製から始まったが、これからはリアル社会がウェブのなかで培われた思考様式や心理状態を模倣していくだろう」

 小林さんは、このような状態になっていく原因としては、ウェブ上での「人間中心主義」の台頭があると言います。

 一昔前までのインターネットでのコミュニケーションは端末同士の通信による情報交換のみが主流でした。しかし、Facebookを代表とするSNSの台頭により、顔が見える相手との「体験」や「感情」の共有がオンライン上で可能になり、情報交換よりもオンライン上の人間同士の繋がりが重要になってきました。

 この傾向を小林さんは「人間中心主義」と名付け、今後のインターネット社会はほとんど全ての場面で人間中心主義をより一層強めていくだろうと述べています。

 インターネット上には似たようなサービスが乱立していますが、流行っているサービスとそうでないものの違いは、上記の「人間中心主義」に沿っているか否かです。そういったサービスは「シェア」され、より多くの人に浸透していきます。そして、この「シェア」という行為こそがインターネットの人間中心主義の本質であり、従来の資本主義の考え方を変える可能性があると著者は述べています。

 より多くの人にシェアされたサービスは成長を続け、SNS上でシェアされている記事は多くの人に影響を与え、クラウドファンディングでシェア(共感)を得られた事業モデルには多くの資金が集まります。

 このまま人間中心主義が進行していくと、インターネット上で話題になっているものや、より多くの人が望んでいるものが現実社会に登場したり、インターネット上で生まれた考え方や人間の感情がそのまま社会に直結することによって、ますます現在の世界はインターネット無くしては成り立たなくなります。

 本書の中で著者は、それは決して悪いことではなく、むしろ自然な流れであると述べています。テクノロジーもインターネットも進化を続けていますし、社会も常に進化を続けなければなりません。

 今後、テクノロジーとネットワークは人間中心主義に沿って、各個人に合うように変化を促し、今よりも強く組織や共同体に浸透していきます。まさに、これまでの常識が通じなくなる時代に突入していくのです。そんな時、企業や個人はいかなる視座を持つべきか。今一度考えた方が良いかもしれません。



『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である (PHP新書)』
 著者:小林 弘人
 出版社:PHP研究所
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
都議会でセクハラヤジ......女性支援ってなに?
ファミレス従業員の8割が外国人に? 政府が移民の大量受け入れを検討
Facebookで他人を無断タグ付けしたら犯罪?


■配信元
WEB本の雑誌