巨額の運用資産を持つ中国政府。2008年のリーマンショック以降、その資産が向かった先は日本株だった。だが、本誌の取材で、アベノミクスの株高で儲けた中国政府系投資ファンドは、しっかり4兆円を売り抜けていたことがわかった。

 では、中国政府系ファンドが次に狙う企業はどこか。先回りして仕込んでおけば、儲けることができるかもしれない。

 ヒントは、保有している企業にありそうだ。保有リストを分析してもらい、株式市場に詳しい金融アナリストの永野良佑氏、マネー評論家の新田ヒカル氏、中国経済に明るいグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏に予想してもらった。浮かんできたキーワードは、「玄人」「ミーハー」「割安」「業績変化率」だ。

 永野氏が言う。

「基本的に、業績が良く安定性もある、知る人ぞ知る『玄人銘柄』を選んでいるようですね。ただ、消費財に限っては、サマンサタバサなど一般的に知られている業界ナンバーワンのわかりやすい『ミーハー銘柄』が買われていますね」

 現在保有する玄人銘柄には、豊田自動織機が挙げられる。事業内容は一見地味だが、トヨタの大株主なので、業績が悪化する可能性は低い。永野氏は、今後狙われそうな企業として、日産系の自動車部品メーカーのカルソニックカンセイに注目する。

 そのほかでは、近畿日本鉄道などの電鉄、日本郵船傘下で物流サービスを手掛ける郵船ロジスティクスも注目だという。

 ミーハー銘柄では、傘下にユニクロを持ち世界中で店舗を拡大しているファーストリテイリング、テーマパークの東京ディズニーランドが好調なオリエンタルランド、ファミリーマートなどのコンビニ、三越伊勢丹ホールディングスなどの百貨店を挙げる。

 一方、新田氏は「割安」に注目する。

「PER(株価収益率)は約15倍以下、PBR(株価純資産倍率)は1倍以下のものを割安と判断して買っているようです。現在保有している企業の中でこの条件を満たし、まだ保有株数が少ない企業を買い増してくると思います」

 PERとは企業の利益と株価の関係を表し、PBRは、会社の純資産と株価の関係を表す指標。どちらも、低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が安いことを意味する。

 新田氏の基準に当てはまる企業は、豊田自動織機、総合金融業のSBIホールディングス、非鉄大手の三井金属、有機ELテクノロジーを手掛けるヒラノテクシード、K&Oエナジーグループ、自動車部品メーカーのジーテクト、タカラレーベン、日神不動産や日本エスリードだ。これらの企業を買い増すとみる。新田氏は、なかでも日神不動産を推す。

「マンション事業は好調。しかし株価は同業他社と比べて出遅れている感があります。マンションだけでなく、売電事業も好調のようです。売り上げは右肩上がりなので期待できます」

 一方、「業績変化率」派は戸松氏だ。

「業績が大きく伸びる銘柄を買っているようです。14年3月期の増益率、増収率予想が20%以上の企業には富士重工、豊田自動織機、アマダ、ヒラノテク、SBI、アルパインなどがあります。それぞれの分野で主役級の実力を持っていることも欠かせないですね」

 戸松氏は、次に狙ってくる可能性のある企業として、エンジニアリング大手の東洋エンジニアリング、電力取引などを手掛けるエナリス、携帯通信業のソフトバンクを挙げる。いずれも今年度の売り上げが大きく拡大する見通しの業界大手クラス企業だ。

 東洋エンジニアリングの売り上げは順調に拡大。海外でシェールガス関連の開発や東南アジアでのプラント建設のニーズが高い。また、エナリスは太陽光発電設備の建設も好調だ。ソフトバンクは、電子商取引の取扱高が世界最大のアリババグループの1位株主。アリババグループが米国で上場するため、ソフトバンクには多額の含み益が出る可能性がある。

週刊朝日  2014年6月27日号より抜粋