総勢12人の日本人選手(※)が参戦する全米女子オープンが、現地時間6月19日(日本時間6月19日夜)に開幕する。米女子ツアーの今季メジャー第2弾となる会場は、前週男子の全米オープン(6月12日〜15日)が開催されたばかりのノースカロライナ州のパインハーストNo.2。男女の全米オープンが同じコースで連続開催されるのは、史上初となる。

※全米女子オープンに出場する日本人選手は出場回数が多い順に、宮里藍(29歳/10回目)、横峯さくら(28歳/6回目)、宮里美香(24歳/6回目)、有村智恵(26歳/3回目)、上原彩子(30歳/2回目)、吉田弓美子(27歳/初)、穴井詩(26歳/初)、森田理香子(24歳/初)、成田美寿々(21歳/初)、城間絵梨(20歳/初)、渡邉彩香(20歳/初)、橋本千里(16歳・アマ/初)

 男子の全米オープン最終日には、練習場が女子選手にも開放された。おかげで、まもなく頂点を競うことになる、マルティン・カイマー(ドイツ/優勝)やリッキー・ファウラー(アメリカ/2位タイ)らが最終調整する中、続々と会場入りした女子選手たちも一緒にボールを打ち込み、男女の世界トッププレイヤーが"競演"するショットレンジは、華やかな雰囲気に包まれていた。

 さて、コースの難しさは女子も男子と変わらない。全長こそ、男子の7562ヤード(パー70)から6649ヤード(パー70)と短くなるものの、フェアウェーの両側は「ワイヤーグラス」と言われる荒れ地が控え、「タートルバック(カメの背中)」と称される難度の高いグリーンが待ち受けている。

 今年で全米女子オープン10回目の出場を迎える宮里藍は、この難コースについてこう評した。

「飛ぶ人だけが有利、というコースではない。これまでで最もフェアな設定だと思います」

 コース攻略のカギになるのは、グリーン周り。傾斜のきついグリーンは、セカンドショットのボールが狙いどころからわずかに逸れただけで、グリーンの外へ、あるいはグリーン周りのバンカーまで転がり落ちていってしまう。そこで、いかにショートゲームを駆使して、パーをセーブできるか、もしくはボギーで収めることができるかが、勝負となる。

 長兄の宮里聖志(予選落ち)が参戦した全米オープンを観戦したという宮里藍も、その点を強調する。

「飛距離が違うショットに関しては、(男子のプレイは)まったく参考にならない(笑)。ただ、見ている限り、グリーン周りをうまく攻めた選手が上位にいっていたと思う。そこで大事なのは、自信のあるクラブを迷わずにチョイスすること。(今大会では)決断力のスキルが問われると思う」

 つまり、ショートゲームに優れた宮里藍のゴルフスタイルには、最も適したコースだと言える。だが、今季の宮里藍は、パットの不振から思うような成績が出ていないのが現状。メジャー制覇は大きな目標とはいえ、例年ほどタイトル奪取に向けて遮二無二なっている印象はない。

「確かに(メジャー制覇へ)気持ちは、あまりガツガツしていない。このコースを攻略することで頭がいっぱい。とにかく、1番ホールからいいゴルフができるように、いい状態を整えて本番に臨みたい」

 そう言って、非常に落ち着いた表情を見せていた宮里藍。いい意味で力が抜けている分、パットさえ決まり出せば、躍進もあるかもしれない。

 米女子ツアー参戦2年目の有村智恵は、ここ3試合連続で予選を突破。徐々に調子を上げてきている。有村自身、「ようやく不安な状態から抜け出した」とメジャー大会を前にして、米ツアーでの手応えを語った。そして、昨年は予選落ちに終わった全米女子オープンに向けても、前向きな姿勢を見せた。

「もともと、メジャー大会でどっしりと構えて戦うために、米ツアーを主戦場にして戦いたいと思っていた。まだ結果にはつながっていないけれども、昨年よりは地に足がついていると思います」

 アメリカでも安定したプレイができるようになった自信からか、明るい表情を見せた有村。爆発力があるだけに、上位進出のチャンスはあるはずだ。

 一方、日本からの参戦組で注目されるのは、昨季日本ツアーの賞金女王に輝いて、初めて全米女子オープンの舞台を踏む森田理香子。練習ラウンドでは、師匠の岡本綾子プロが付きっきりで指導。コースの攻め方はもちろんのこと、スイングの微調整もこなし、万全の態勢で本番に向かう。

「私にとって、アメリカの試合はすべて同じようにすごいものだと感じている。だから、全米女子オープンと言っても、特別な思い入れはないんです。それでも、今大会はグリーン周りの高低差があって、距離も思った以上にある。すごく難しいですね。スコアメイクのカギは、グリーン周りとグリーン上。アプローチでは、私はパターをメインに使って攻めたいと思います」

 コース設定の難しさに驚きを隠せずにいた森田だが、「これまでとは違う自分を見せられたら」と、世界舞台での奮闘を誓った。

 日本ツアー勢では他に、今季ツアー初勝利を飾った渡邉彩香と、日本メジャーのワールドレディス・サロンパスカップを含め、今季ツアー2勝を挙げている成田美寿々という、日本の将来を担う大型若手プレイヤーに期待が集まる。が、初の海外戦となる渡邉は、大会前から"試練"に直面した。日本からの飛行機が遅れて、乗り継ぎに失敗。危うく大会登録を逃すかもしれない事態に及んだのだ。

 結局、大会登録日の未明、夜中の3時に宿舎にたどりついて、何とか事なきを得た渡邉。2時間ほど仮眠をとって登録を済ませると、精力的に練習ラウンドを消化。疲れた表情を一切見せることなく、初の海外、それもメジャー大会出場に心躍らせていた。

「グリーンの傾斜があるとは聞いていましたけど、『こんなにあるのか!』っていう感じ(笑)。でも、距離は思ったよりもない感じがします。決して、どうにもならない、というコースではないな、と思いました。バーディーチャンスはそんなに多くないだろうけど、パットが入ればいいスコアが出るような気がします」

 ロングヒッターらしく、練習後には頼もしい言葉を残した渡邉。今季の勢いのまま、本番でもいいプレイを見せてくれることを期待したい。

 片や、今季絶好調の成田も、初の全米女子オープン出場に何ら臆することなく、憧れの舞台での飛躍に燃えていた。

「ずっとこの試合に出場したかったので、めちゃくちゃテンションが上がっています(笑)。(コースの攻め方は)無理をしないこと。無理をしたら、ダブルボギーになってしまう。まあでも、ドライバー(の調子)はちょっと怪しいけど、アイアンの調子はいいし、ショートゲームもいい感じ。精神面も、体力面もいい状態ですから、がんばりたい」

 そう語って、おおらかな笑顔を見せた成田。豪快なショットだけでなく、小技が冴えている今なら、上位争いに加わっても不思議ではない。

 大会初日に29歳の誕生日を迎える宮里藍を筆頭に、実力派から若手成長株まで多彩なメンバーが集った日本勢。はたして、優勝争いに加わってくるような選手は現れるのだろうか。宮里藍が語る。

「(海外メジャーの)こういう雰囲気を、(日本の選手には)チャンスがあればどんどん経験してほしい。それは、早ければ早いほうがいい。(大会では)結果として日本人選手が活躍できればいいと思いますけど、成長段階の選手がいっぱいいる。(彼女たちには)あまりプレッシャーを感じずに、のびのびとプレイしてほしいですね」

 女子ゴルフ界最高峰の舞台に挑む、12人の"なでしこ"。彼女たちがどんなプレイを見せるのか、注目したい。

武川玲子●文 text by Takekawa Reiko