W杯ブラジル大会の日本の初戦、コートジボワール戦は厳しい試合だった(1−2で敗戦)。日本が悪かったというよりは、コートジボワールが攻守両面で上回っていたと言うべきで、相手のパワーとテクニックに、日本はなす術なく負けたという印象だ。

 もっとやれると思っていたが、その認識が甘かったのだと思い知らされた形だ。日本サッカーは、まだまだいろんな部分でレベルアップしなければいけないと考えさせられる試合内容だった。

 日本代表はこの4年間、どんな相手であろうとパスをつないで攻撃的なサッカーをすることを目指してきたのだから、相手のプレッシャーを受けながらでも、これまで築いてきたチーム力や個人のスキルを見せてほしかった。負けたこと以上に、自分たちのスタイルを発揮できなかった試合内容にショックを受けている。

 試合は本田圭祐のゴールで日本が先制したが、その後の主導権は最後までコートジボワールが握っていた。たしかに、勝負のあやとなったのは、ドログバの投入だったが、それまでも日本は何度となくピンチに陥り、最後に体を張ってシュートブロックをしてしのぐなど、かなり攻め込まれていた。

 そういう展開で日本は自分たちの時間帯を作ろうと努力はしたものの、ボールをキープできなかった。攻め込んでいるときに横パスを奪われるなど、ボールの失い方が悪く、左サイドバックの長友佑都が攻め上がったスペースを使われる局面も何度かあった。

 日本代表がパスを回しながら自分たちのペースで攻撃できた時間帯は、得点した直後と後半の立ち上がりくらい。それ以外はコートジボワールの時間帯で、日本がボールを持っていても、"持たされている"状態に近く、パスを回して相手を揺さぶるような場面は少なかった。

 コートジボワールのラムシ監督には、ドログバを後半まで温存し、勝負どころでそのカードを使うという明確なゲームプランがあったし、日本のことをかなり研究していたのだろう。

 コートジボワールの右サイドバック、セルジュ・オーリエは攻撃力が高く、今シーズンはフランスリーグのトゥールーズで34試合に出て6得点6アシスト。コートジボワール代表では攻撃の起点として期待されていた選手だ。日本は彼を抑え込めず、結局、そのオーリエからのクロスで2失点を喫することになってしまった。

 また、コートジボワールが両サイドを使って攻め込んできたことで、日本代表の岡崎慎司、香川真司の両サイドMFが守備に追われて自陣に引っぱり込まれる状況が続いたことも、苦戦した原因だろう。

 結果的に前線の大迫勇也が孤立し、パスを受けてもサポートがないためボールを奪われてしまった。日本代表の生命線は選手同士のコンパクトな距離感にあるが、コートジボワール戦では最後までいい距離感で攻撃することができなかった。

 守備面では、日本代表はいつもの試合と同様に、開始直後からボールホルダーにプレッシャーをかけていったが、うまく噛み合っていなかった。

 立ち上がり、1トップの大迫とトップ下の本田が相手のボールホルダーにプレッシャーをかけに行ったが、味方のボランチとの間に生まれたスペースを使われてしまい、攻め込まれるシーンがあった。あのプレーで、日本は出端をくじかれてしまったといえる。

 うまくプレスがかかり、相手からボールを奪っていたら違う展開になっていたかもしれないと思うほど、あのプレーで勢いをそがれてしまった。それ以降、相手のボールホルダーに寄せられず、パスでいなされて攻め込まれるというパターンを繰り返した。本来ならば、勇気を持って前に出て、連動して囲い込んでボールを取りに行くべきだったが、それを修正することができなかった。

 初戦は厳しい結果になったが、グループリーグ突破の可能性が消えたわけではない。同じく初戦で負けた2006年のW杯ドイツ大会のときは、初戦のオーストラリア戦で先制しながら逆転され、さらに3点目まで奪われたことが致命傷になった。

 それを考えれば、コートジボワール戦は3、4点奪われてもおかしくない内容だったが、失点を2にとどめた。総得点や得失点差を考えれば、まだ踏みとどまっている。もちろん、決勝トーナメントに進むためには、次のギリシャ戦で必ず勝利しなくてはいけない。

 ギリシャ戦では、選手たちは結果を恐れずに自分たちのスタイルを貫いて戦ってほしい。コートジボワール戦のように、自分たちが4年間突き詰めてやってきたことを出せなかったとなると、悔いしか残らないはずだ。

 このチームは、パスをつないで相手を圧倒するために技術を磨いてきた。相手のボールを奪って攻め抜くために、引かずに戦う。その「日本らしいサッカー」を実行するために、必要になる存在が遠藤保仁だ。

 遠藤は、コートジボワール戦は後半途中からの出場だったが、彼の良さを最大限に生かすにはやはり先発で起用するべきだろう。ギリシャ戦では、スタメンで出場して、キックオフ直後からリズムを作っていってほしい。

 ギリシャ戦は立ち上がりから勝負に行かなければいけない。試合への入り方が悪いとズルズル後退していく可能性も十分ある。ボランチの遠藤のところでパスを散らして、両サイドの選手が攻め上がる時間を作ることができれば、香川や岡崎の攻撃力が生き返るはずだ。当然、何度かはカウンターを受けるかもしれないが、押し込むことができればそのリスクは軽減できる。

 ギリシャ戦も先制点が重要だ。ギリシャは初戦でコロンビアに0対3で負けているのだから、先制点を奪って、彼らの戦意を削ぎたい。

 カギになるのは、日本の両サイドバックがどこまで高い位置を取れるか。ギリシャの守備は中央を固めてくるはずなので、長友、内田篤人の両サイドバックが前線に上がって相手のサイドをえぐれるかがポイントになる。

 ギリシャは左サイドMFのサマラスが攻撃の起点になるので、対峙する内田は彼との駆け引きを制する必要がある。内田が何度も攻撃を仕掛けてギリシャ陣内にサマラスを押し込む状況を作れれば、相手の良さは消せるはずだ。

 また、同じグループのコロンビア対コートジボワールの試合結果によって3戦目の戦い方は変わってくる。コロンビアが勝利してグループリーグ突破を決めてしまえば、第3戦で日本と対戦するときに主力を温存してくる可能性がある。そうれば日本にも勝機が訪れるからもしれない。グループリーグ第2戦、日本の勝利とともに、コロンビアの勝利にも期待したい。

福田正博/解説
津金一朗/構成