「自分自身に負けた」…認め、吹っ切れた香川

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 何度も頭の中をギリシャ戦に切り替えようとしたが、どうしてもコートジボワール戦のことが浮かんできた。FW香川真司(マンチェスター・U)はW杯デビュー戦で何もできなかった自分を悔やみ、悶々とする夜を過ごした。しかし、とことん悔やんだ末に光があった。夜明けと同時に開き直っている自分を見つけていた。

「昨日のことは昨日のうちに、存分に悔しい思いと向き合った。また次の練習からしっかりやっていく」

 初戦を迎える前の険しい表情、試合直後の憔悴した表情から一変。イトゥに戻ってきた香川は重い物を脱いだような顔をしていた。

 反省ばかりが口を突いたが、声には張りがあった。コートジボワール戦で何もできなかったと言っていた理由を聞かれると、さばさばと答えた。

「自分自身に負けた。プレッシャーもあったし、緊張感もあったのも事実。その中で最初の段階でミスが続き、なかなか打開できなかった。ただ単純に自分のメンタルのところ。雰囲気に飲まれたところもあった」

 FIFA公式スタッツでは香川の走行距離は10.346km、パス成功率66%。特にパス成功率が低かった。その数字を聞かされると、「すべてにおいて納得というか、そのとおりだと思う」とうなずきながら前を向いた。

 コートジボワール戦では「自分に負けた」が、コンディション自体が悪いわけではない。プレッシャーから解き放たれさえすれば、あとは上昇していくだけだ。

「この4年間、このW杯のために頑張ってきた。リーグ戦だからこれで敗退というわけではない。次の試合に向けてしっかり準備して、絶対に勝ちたい」と力を込める。

 昨年6月のコンフェデレーションズ杯。日本はブラジルとの初戦で硬さが出てしまい、「自分たちのサッカーができなかった」と言った。1年後もまた同じ轍を踏んだことにはなるが、今となれば後ろを向いているわけにはいかない。むしろ、生かしたいのはコンフェデ杯第2戦のイタリア戦で起死回生の「日本らしいサッカー」を見せたことだ。

「僕たちも昨年(のイタリア戦)のようなことが可能だと信じている。次の試合に向けて切り替えていきたい」

 次の相手のギリシャも初戦を落としている(コロンビアに0-3)。「ギリシャも日本も勝ちに行かないといけない戦いになる。今度は主導権を握って戦いたい」。吹っ切れた香川が頼もしく映った。

(取材・文 矢内由美子)