香川真司 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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 わずか2分ですべては瓦解した。

 コートジボワールとのグループステージ初戦は、逆転負けに終わった。

 勝敗の分かれ目はひとつではない。1対0とリードした20分に、内田の決定的なシュートが決まっていたら、試合の行方はまったく違うものになっていたはずだ。36分、中央突破から本田がフィニッシュへ持ち込んだシーンも、追加点の可能性を感じさせた。いくつもの「if」が成り立つが、結果は変わらない。

 ポイントは62分にあった。コートジボワールが、ドログバを投入してきたのである。しかも、1トップのボニを残し、トップ下のヤヤ・トゥーレを中盤に下げた。前線に攻撃の起点を生み出しつつ、中盤の展開力をアップさせるシフトチェンジだ。

 果たして、ゲームの構図は一変する。 

 ドログバに起点を作られた日本の最終ラインは、じわじわと後退を余儀なくされてしまう。囲い込もうとしてもボールを取りきれず、ドログバの対応に人数を割くとフリーの選手が生まれてしまう。テンポを上げた相手のパスまわしに、日本はついていくことができない。

「守備で消耗した」と香川は振り返る。高い位置を取る相手のサイドバックに引きずられ、彼と岡崎の両サイドはもちろん、本田も自陣でのプレーが多くなる、攻撃のスタート地点が低くなれば、ボールを奪い返されるリスクも高まる。攻めのスピードも上がらない。選手同士の距離も遠くなりがちで、日本らしい連動性が発揮されない。
かといって、前がかりになるとコートジボワールにカウンターを浴びる。どうしたら状況を打開できるかの答えが見つけられないまま、日本は終了のホイッスルを聞くことになってしまった。

 コートジボワールは日本を研究していた。右サイドバックがふたつのゴールをアシストしたのは、決して偶然ではなかっただろう。 

 日本のストロングポイントは、香川と長友が形成する左サイドにある。スローインからの流れとはいえ、本田の先制弾も彼ら二人がきっかけを作った。だが、このシーンを除けば、ふたりが攻撃面で見せた仕事はほとんどない。ペナルティエリア内で香川が俊敏さを発揮する場面は、ついに訪れなかった。長友のクロスが、フィニッシュにつながる場面も。左サイドは攻略されていたのだ。
 
 ボールポゼッションで相手に劣り、シュート数でも劣勢を強いられる。コートジボワールとの一戦は、ザックのもとで目指してきたサッカーにほど遠い。

「自分たちがこの4年間やってきたことにトライできなかった。攻撃の形というものをトライしなかった。それが一番悔しいです」
 
 試合後の香川は、表情に怒りにも似た歯がゆさをにじませた。南アフリカからの4年間を注ぎ込む機会は、まだふたつ残されている。そして、2試合の結果次第でグループステージ突破の可能性は残っている。チームとしての胆力が、いまこそ求められている。