采配的中に自画自賛のラムシ監督、GL突破確率は「89%」?

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[6.14 ブラジルW杯C組 日本1-2コートジボワール レシフェ]

 采配がズバリ的中した。コートジボワール代表のサブリ・ラムシ監督は、コンディションに不安を抱えるFWディディエ・ドログバをベンチに温存。エースを後半途中から起用する大胆な策を取った。

 1点ビハインドで迎えた後半17分、ドログバがタッチラインに立つと、スタジアムからは大歓声が沸き起こった。ドログバとFWウィルフリード・ボニーが2トップを組む4-4-2にシステムも変更。これが功を奏した。2分後の後半19分にボニーが同点ゴールを決めると、そのまた2分後にFWジェルビーニョが勝ち越しゴール。連続ゴールで2-1と逆転に成功した。

 ドログバ投入に端を発した5分間での逆転劇。「ドログバですべてが変わったと言っても過言ではない。ドログバが入ることによって流れが変わった」。そう胸を張るラムシ監督だが、エースをベンチスタートとする決断は簡単ではなかったはずだ。

「彼とはスタメンではないことを試合前に相談している。彼が最後にフル出場したのは数か月前のトルコリーグでの試合だった。コンデションの問題もあったし、作戦として“後出し”のほうが効果的だったのも事実だ。先発して途中交代するよりも、あとから出てきて流れを変える。作戦が的中したと思う」

 自画自賛の戦略は、ドログバの起用法だけではなかった。日本を入念に研究し、対策を練った。ボランチが最終ラインのビルドアップに参加することで日本のプレスをかわし、攻撃時はサイドで数的優位をつくりながら日本の左サイドを徹底して突いた。

「組織的でスピードのある日本に対し、どこをどのように攻めるのかを確認していた。前半もたくさんのチャンスがあった。それが実を結ばなかったのは、やはり初戦ということもあって、チームに冷静さが足りなかったからだろう」

 前半を1点ビハインドで折り返しても慌てることなく、勝負どころでドログバを投入。一気の逆転勝ちで勝ち点3をもぎ取った。

「初戦を勝つと、89%の確率で決勝トーナメントに行くというデータがあるらしいが、そうではないこともある。初戦に勝てたことはうれしいが、これで決勝トーナメントに行けるとは思っていない」。そう言ってチームを引き締める指揮官は早くも次の試合に視線を向ける。

「これから3時間かけて次の試合の場所(ブラジリア)に行く。体調をしっかり整えて、次の強敵であるコロンビアとの試合に臨む。その試合に勝てば決勝トーナメントに行くことになるだろう」

 チームが尻上がりに調子を上げていくことを期待し、確信もしている。故障明けのMFヤヤ・トゥレについて「100%ではなかった」と認めながらも、「100%でなくても、ヤヤ(・トゥレ)がいることは重要だ。彼自身もそれを望んでいた。彼がチームのために献身的に働くことの効果は絶大だ」と賛辞を送る。

ドログバもそうだが、できる限り早く100%に戻ってほしい。ドログバも90分間、試合に出たがっていたが、彼には90分出てもらわない選択をした。私は選手の個人マネジャーではなく、コートジボワールの監督だ。そのことを頭に入れたうえで選手の起用を考えている」

 初戦は重要だが、すべてではない。過去2大会連続で「死の組」に組み込まれ、グループリーグ敗退に終わっているコートジボワール。悲願の決勝トーナメント進出へ大きく前進した「レ・エレファンツ」(「象」の意味の愛称)は、さらなる高みも見据えている。

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