いよいよ、サッカー王国ブラジルで行なわれるワールドカップの開幕が目前に迫ってきた。

 開催準備の遅れ、ブラジル国内における開催反対デモや、地下鉄ほか交通機関のストライキなどのニュースが数多く報じられているが、その一方で、開幕戦(ブラジル対クロアチア/日本時間13日の朝5時キックオフ)を控えたサンパウロでは、ワールドカップ独特のお祭りムードが確実に高まっている。

 2、3日前までは空港や街中でもワールドカップを感じさせるような雰囲気はなかったが、数日前まで続いていたサンパウロ地下鉄のストライキも一時的に休止(開幕戦当日にストライキが再開する可能性も否定できない状況にあるそうだが)。テレビ各局はブラジル代表を中心とするワールドカップ報道一色となり、ようやく国全体がワールドカップモードに切り替わったようだ。

 とりわけ、開幕戦の会場となっているアレーナ・ジ・サンパウロ周辺では、開幕を待ちきれないサポーターたちがひと足先に集結。地元ブラジル・サポーターをはじめ、コロンビアやチリといった南米各国からのサポーターが応援合戦を繰り広げるなど、お祭りムードは満点だ。

 数日前まで、地下鉄職員のストライキを連邦警察が鎮圧する事件が起こるなど、荒れ模様だったスタジアムの最寄り駅「コリンチャンス・イタケラ」も、今は平穏を保っている。改札出口付近には大会公式球のオブジェが飾られたほか、スタジアムまでの通路にはワールドカップ仕様のペインティングや幕が張られ、案内表示などの準備もようやく整った様子だ。

 ちなみに、「コリンチャンス・イタケラ」駅までは、サンパウロの中心にある「セー」駅から地下鉄3番線に乗車して約25分(在来線のCPTMでもアクセス可能)。試合当日は大混雑が予想されるが、幹線道路の大渋滞が日常茶飯事のサンパウロの交通事情を考えると、タクシーやバスではなく、地下鉄でアクセスするほうが賢明だ。

 その「セー」駅にあるセー広場には、ワールドカップのファンフェスタ会場が設置されている。大会期間中、観戦チケットがない場合はファンフェスタ会場でワールドカップを体感するのも悪くないだろう。三度の飯よりフットボールを愛するブラジル人と一緒にワールドカップを楽しむのは、サッカー好きにとって夢のようなひと時となるはず。現地に足を運ぶ人には、是非お勧めしておきたい。

 ただし、セー広場はいわゆるサンパウロのダウンタウンに位置し、日常的にスリや窃盗といった類の事件が多発するエリアでもあるので、注意が必要だ。カメラやスマホといった金目の物はポケットなどにしまい、なるべくバッグを持たず、手ぶらのほうがいい。また、日中でも単独行動は避けたいところだ。

 もちろん、これはセー広場付近に限ったことではない。基本的にブラジル全体の治安はあまりよくないので、どこを歩くにも常にスリや窃盗などに警戒すべきだろう。実際、昨年のコンフェデレーションズカップの際も、各国から訪れたサポーターやメディア関係者が被害にあっている。

 現地で得た情報によれば、今回のワールドカップ開幕前にもすでに盗難などの被害が発生しているようなので、どの街を訪れる場合も油断は禁物。ダウンタウン、地下鉄、スタジアム周辺など、人ごみの中に身を置くときはグループでお互いの安全を確認し合うのがベターだ。日本の常識を捨てることが、安全への第一歩と言える。

 とはいえ、警戒さえしておけば、ブラジルは楽しく、居心地の良い国だ。

 陽気で気さくなブラジル人は、誰にでも親切。ワールドカップ期間中は、いつも以上のホスピタリティ精神で各国からの来訪者を歓迎してくれるに違いない。

 最後に、現地観戦でブラジルを訪れる人のために、気候について触れておくと、ここ数日のサンパウロの天気は曇り時々雨の日が続いている。気温は最高気温が20度前後、最低気温が15度前後といった具合で、冬とは思えない暖かさだ。

 ただし、日中は半袖でも問題ないが、急激に気温が下がることもあるので、念のため上着などの冬支度も準備しておく必要がある。

 また、日本戦が行なわれるレシフェ、ナタール、クイアバは、いずれも最低気温が20度以上の暖かさで、クイアバなどは日中の最高気温が30度を超えることもある。レシフェ、ナタールはスコールのような大雨に見舞われる日が多いので、湿度は高い。サッカー観戦には、合羽などの雨具が必需品となりそうだ。

 とにもかくにも、4年に1度のワールドカップが開幕する。

 果たして、サッカー王国で開催されるワールドカップの興奮はいかなるものなのか。今まで経験したことのない、史上最高のワールドカップを期待せずにはいられない。

中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi