近頃、AMラジオの女たちが熱い。雑誌『BRUTUS』3月15日号でも特集が組まれるなど脚光を浴びつつあるラジオだが、昼は中高年のもの、深夜は受験生の味方というイメージが強いのではないだろうか。それがにわかに変わりつつある。FM放送のバイリンガルDJによるスローライフ提案では満たされなかった女性リスナーが、AM放送に鞍替えしている。今、ラジオで何が起きているのか? 女性が聞くべき番組とは?

着地点なしのガールズトーク「オールナイトニッポンゴールド」水曜日

ニッポン放送で月〜金曜の22:00〜23:50に放送されている帯番組『オールナイトニッポンゴールド』。オールナイトニッポンといえば伝統的には10代の男子学生の味方だが、注目したいのが、元TBSアナウンサー、現在はタレントとしても活躍する小島慶子とミッツ・マングローブによる水曜日。

受験生を励ますなどオールナイトニッポンの伝統は守りつつも、仕事をする女の生き辛さと喜び、ミッツの赤裸々な恋愛経験、模索する家族のあり方など、テレビでは見ることのできない女の本音が繰り広げられている。また二人が注目しているイケメン俳優、平岳大の情報をリスナーからTwitterで募集し、それだけで二時間近く盛り上がるなど、四方八方に転がるトークはまさに女子会。

戦う女子に「賭場から下りるな!」というジェーン・スーのエール

そして今、最も熱いガールズトークが繰り広げられているのが、4月からスタートしたTBSラジオ土曜19:00〜21:00の『ジェーン・スー 相談は踊る』だ。作詞家・コラムニストでありアイドルのプロデュースも手掛けるジェーン・スーが、パーソナリティとしてリスナーからの相談に答えるというオーソドックスな番組構成だが、寄せられる相談内容は「交際期間の長い恋人同士のセックスレス」「女同士の友情」「40代の恋愛」「キャリアアップか、結婚か」など女性なら誰もが抱えるリアルな悩み。それに対しジェーン・スーは、正論でぶった切るようなことはしない。丁寧に話の交通整理をしながら、リスナー本人に判断を促していく。著書『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)で、自身や周囲が経験した失敗をユーモアに昇華した手腕で、深刻な悩みもパワフルに楽しく盛り上げる。

アメリカ留学やレコード会社勤務などキャリアを積む一方で、藤原紀香の完コピに挑戦するなど、女性の生き方を真剣に模索した彼女だからこそ「損切りは大事。でも賭場から下りるな!」というエールに説得力が伴う。

ラジオが孤独な女の夜を救う?!

そんな魅力的なコンテンツがあっても、ラジオ自体持ってない、という声も少なくないが、今やラジオはインターネットで聴く時代。IPサイマルラジオ「radiko.jp」は4月1日よりエリアフリーの「radiko.jpプレミアム」を開始し、有料で全国のラジオ番組を聴くことが可能になった。地域により電波受信の差があり、音質がイマイチだったAMラジオは昔の話。今は良い音質でどこでも聴くことができるのだ。また番組ごとに行っているpodcastは登録すればスマートフォンでいつでも好きなときに楽しむことができる。

食事の片付け、家事、ボディケアなど、何かと忙しい夜の時間帯に「ながらメディア」のラジオは相性抜群。一人の夜、ふと孤独に襲われうっかり昔の彼氏に電話してしまうという女の危機を救ってくれるのはラジオかもしれない。

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(松田美保)