大相撲夏場所は横綱・白鵬の2場所ぶり29回目の優勝で幕を閉じた。いよいよ史上3人目の30台まであと1。「(来日中の)両親の前で優勝できてうれしい」と会心の笑みを浮かべていたが、この白鵬に最後まで食い下がり、優勝争いを盛り上げたのが大関・稀勢の里だった。

 この2場所、7勝、9勝止まりで、大関の座を維持するのがやっと。綱取りレースで鶴竜に先を越されたばかりか、人気の面でも新鋭の遠藤に激しく追い上げられ、日本人力士期待の星の座を奪われて“落ち目の星”になっていた。
 とはいえ、実力はまだまだ遠藤の比ではない。唯一の難が勝負どころでのモロさ。この場所も、4日目に平幕の碧山にあっさり押し出され、館内から失望の声が上がった。
 「それにもう一つ、間の悪さですね。この4日目というのは遠藤が横綱・鶴竜を破って入門から8場所目という史上2番目のスピード金星を上げた日。あまりにも2人の姿が対照的だったため、ファンの稀勢の里離れは一気にエスカレートしました」(担当記者)

 結果的に自己最多タイの13勝したといっても、協会首脳の信頼を取り戻すのはまだまだ。特に白鵬戦の負け方がひど過ぎた。立ち合い焦って2度も突っかけ、3度目も突っかけかけて思いとどまり、呼吸が乱れたところを攻め込まれ、全く相撲にならずに完敗。完全な自滅で、北の湖理事長も、「こういう相撲では綱取りにつながらない」と苦々しい表情だった。
 この評価は千秋楽になっても変わらず、「次の名古屋で全勝優勝しても、横綱という声が出るかどうか」と綱取りに否定的だった。
 平成15年以来、久しく途絶えている日本人横綱の誕生までは、まだまだ時間がかかりそうだ。