【信用取引入門:第3回】 ネット証券会社選びで差が出る 信用取引のコスト(手数料、金利)と 信用口座開設時の注意点とは?

連載の第3回は信用取引にかかるコストの基本を踏まえた上で、ネット証券のサービスプランまで紹介しよう。自分の取引状況、取引期間に応じてお得なサービスは異なる。信用取引口座の開設方法も紹介する。

*【連載第1回】なぜ2013年から信用取引の売買が増えたのか。信用取引と現物取引、何が違う?

*【連載第2回】信用取引3つのメリットと松井証券の手数料無料の新サービス「一日信用取引」を紹介!

信用取引口座を開設するには……

 信用取引をするには信用取引口座の開設が必要だが、そのためには証券総合口座を開設しておかなければならない。

 また、信用口座の開設時には、多くのネット証券でウェブ上の審査が行われる。ウェブ審査では、信用取引に関する知識(最低保証金など)などが問われ、YES・NOで答える形式の審査が多いようだ。以下にSBI証券の信用口座開設基準(一部抜粋)を紹介しよう。

・年齢75歳未満の成人である
・信用取引のルールを十分に理解している
・十分な金融資産がある
・十分な証券知識がある
・株式の投資経験がある
・当社の総合口座を開設している
・登録金融機関業務に従事されていないこと

 ウェブ上で審査手続きをして申し込み、審査が通れば、口座が開設される。証券口座開設時のような免許証のコピーなどは必要なく、かかる日数は数日程度の証券会社が多いようだ。

手数料が無料になるプランまとめ

 信用取引で主にかかるコストとしては、取引手数料と金利がある。信用取引手数料は、現物株よりも安く設定している証券会社が多い。ネット証券各社で手数料が無料になるプランや条件をまとめたのが【表1】だ。

  【表1】信用取引手数料が無料になるネット証券のサービス

サービス名称 条件 その他の優遇
◆SMBC日興証券
日興イージートレード
「ダイレクトコース」
なし
◆SBI証券
【大口優遇】
大口信用取引
信用取引の未決済建玉金額合計、
または当日約定分の新規建約定代金合計が
5000万円以上
の場合の
翌営業日
手数料
 
◆岡三オンライン証券
【大口優遇】
定額プラン
「プレミアムゼロ」
前月の累計売買金額が20億円以上
(うち現物取引5億円以上)の
場合の翌月手数料
◆カブドットコム証券
【大口優遇】 建玉残高か、新規建約定代金合計が
6000万円以上
の場合の翌営業日手数料

【大口優遇】
ゴールドプラン
(プラチナプラン)
前1ヶ月の建玉残高か、
新規建約定代金合計が4億円以上
場合の翌月手数料
金利優遇【表2参照】
◆GMOクリック証券
1約定ごとプラン 約定代金500万円超の場合
【大口優遇】
VIPプラン
規定日建玉残高、または1カ月間の
新規建合計額5億円以上の場合の
翌月
手数料
買方金利優遇:制度1.9%
◆松井証券
ボックスレート 1日の約定代金合計10万円まで
一日信用取引 デイトレード専用 約定300万円以上なら金利・
貸株料も0%
(300万円未満は2%)
◆ライブスター証券
一律
(つどつど)プラン
約定代金300万円超の場合

 【表1】を見ると、大口顧客や、1約定の金額が大きい場合に、無料になるケースが多いとわかる。また、通常の取引でも手数料無料になるケースがある。

 注目は、SMBC日興証券のネット信用取引(ダイレクトコース)だ。この場合、大口顧客に限らず手数料が無料。金利(2.67%)は他社と比べても一般的で、特に一般信用取引の場合は割安だ。

 松井証券のデイトレード専用サービス「一日信用取引」もお得。手数料が無料で、金利も低い。ヘビーユーザーの場合、大口優遇サービスで証券会社を比較する手もあるが、デイトレーダーなら、「一日信用取引」を利用するのが、もっとも割安かもしれない。

◆松井証券【詳細情報⇒松井証券の紹介ページ】
株式売買手数料(指値) 口座開設
10万円 30万円 50万円
0円 300円 500円
【松井証券の特長】
松井証券の現物取引の手数料は1日の約定代金の合計で決定される「ボックスレート」が適用される。つまり約定代金が一定の範囲内なら手数料は変わらず、特に10万円までなら0円と他の証券会社にはない料金体系となっている。
【関連記事】NISA口座は取扱商品と手数料で選べ!〜金融機関選びのポイントから、最新キャンペーン情報、NISA口座開設の流れまで〜 撻シコク選ぶ編】

信用取引のコストは手数料以外に金利がかかる

 コスト比較をする場合には、金利も重要だ。

 実際にかかる金利は、買い建て時の「買方金利」、売り建て時の「貸株料」だ。証券各社の比較表は「ネット証券を信用取引コストで比較!」を参照してほしい。

 売り建て時に支払う「貸株料」は、各社とも1.15%か1.10%で横並びだが、買い建てにかかる「買方金利」は、各社で差がある。なお、一般信用取引を利用した特殊な売り建てについては、【信用取引入門:第2回】で説明している。

 金利の例を計算してみよう。100万円の株を1日買い建てた場合、買方金利が2.5%だとすれば……。

 株価100万円×1日/365日×金利2.5%=約68円

 金利は営業日ベースではなく、日数でかかるため、土日も加算される。なお、その他の費用として、「逆日歩(品貸料)」がかかるケースもあるが、その説明は次回で。

ネット証券のサービスを利用しコストを低く抑える

 コストを抑えるひとつの方法は、ネット証券の大口優遇サービスを利用することだ。大口優遇金利も含めた金利比較を行ったのが【表2】。

【表2】大口優遇策を含めた買方金利比較

優遇サービス名 制度信用 一般信用 新規建約定月額合計、
または信用残高
(以上)
通常 優遇 通常 優遇
◆安藤証券
2.35%
◆SMBC日興証券
2.67% 2.67%
◆SBI証券
2.80% 2.28% 3.09% 2.90% 5億円
◆岡三オンライン証券
2.60% 20億円※
◆カブドットコム証券
ゴールドプラン
プラチナプラン
2.98% 2.68%
2.06%
3.60% 3.30%
2.68%
4億円
30億円
◆松井証券
3.10% 4.10%
◆マネックス証券
2.80% 3.47%
◆むさし証券
1.52% 2.52%
◆GMOクリック証券
VIPプラン 2.10% 1.90% 3.50% 5億円
◆ライブスター証券
2.30%
◆楽天証券
優遇金利 2.85% 2.28% 3.09% 2.90% 5億円

※岡三オンライン証券は、信用新規・決済、現物取引の合計(うち現物5億円以上)。優遇内容は手数料が無料

 ただし、大口優遇を含めた比較でも、むさし証券の金利がもっとも低い。GMOクリック証券は、通常金利、大口優遇金利(VIPプラン)ともに割安。SMBC日興証券は手数料が無料に加えて、金利も低めだ。

 なお、大口優遇サービスを受けるには各社の条件を満たす必要がある。たとえば、GMOクリック証券の場合、以下のどちらかの条件を満たせば翌月1カ月間は優遇金利となる。

・毎月20日大引け時点の信用建て玉残高が5億円以上
・1カ月間で信用新規建て約定代金の合計が5億円以上

 大口優遇の条件となる各社の約定代金合計金額なども【表2】に掲載した。

 次回は【信用取引入門】の最終回。信用取引の注文方法、取引で注意するべき点、情報の見方など、実践的な内容について解説する予定だ。

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