棚橋弘至さんと言えば、かつては"太陽の天才児"、今では"100年に1人の逸材"というキャッチフレーズを持つ新日本プロレスのエース。リングインした後の、リングアナのコールにあわせて右手の親指と人差し指を天にかざす「逸材ポーズ」や、勝利を収めた後のお決まりのセリフ「みなさん、愛してま〜す!」、さらに反則攻撃を受けた試合後のマイクパフォーマンスで「まぁ、俺のかっこよさは反則だけど」といったドヤ度の高い発言で知られるイケメンレスラーです。

 そんな棚橋選手が、この度、飛鳥新社から書籍『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』を上梓しました。タイトル通り、深刻な経営危機から復活を遂げた新日本プロレスのエースが、老舗団体を蘇らせた数々のエピソードを綴った1冊です。

 とはいえ、そういったメインテーマに沿いつつも、文章の中から滲み出てくるのは溢れんばかりの"棚橋カラー"。"棚橋臭"と言ってもいいかもしれません。行間からもうプンプンに漂ってきます。仮に、この本にサブタイトルをつけるなら「棚橋弘至ってこんなにもナイスガイ」でしょう。

 棚橋選手、いろんな意味で濃い。濃すぎます。たとえば「壊れた夢を再び」と題された序章の中で、棚橋選手は故ジョン・レノンの「イマジン」の世界観と自身のウェートトレーニングを重ねあわせつつ、こう述べています。

「僕はイメージすることができたら、それは必ずかなうと考えている。そのことは大好きなウェートトレーニングを通して学んだ。体を鍛えるときは、ただ漠然とトレーニングをしてもダメで、『こういう体になりたい』というイメージをしっかり持つことが大事になる。(中略)だから僕は『イメージが大事だ』と繰り返し説いてきて、ある日、ふと気づいたのだ。『あ、オレ、ジョン・レノンとおんなじことを言っている!』」(原文ママ)

 また、「生まれてから一度も『人に嫌われたこと』がない」と題された章では、プロレスラーになってブーイングをもらい、思わずショックを受けたことを告白。

「小・中・高、そして大学時代まで含めて、僕は『人に嫌われる』という経験がまったくなかった。少なくとも、自分ではそう感じていた。だから、プロレスラーになって、ファンからリアルなブーイングをもらったときはショックだった。『あ、世の中にはオレのことが嫌いな人もいるんだ......』」

 ちなみに、初めて会場でブーイングを食らったとき、棚橋選手は「びっくり」が先に立ってしまい、対処が遅れてしまったとか。ポジティブな性格で知られる棚橋選手らしいエピソードに、ページをめくりながら思わず笑みがこぼれます。

 また、本書では2002年11月28日に、当時、交際していた女性(浮気相手)とトラブルになって刃物で背中を刺され、一時、意識不明に陥った事件についても触れています。病室で意識が戻ったときに、彼女(本命=現在の妻)に「どういうことなの?」と迫られた様子までもが生々しく紙の上で"再現"されており、ついつい手に汗を握ってしまいます。
 
 全261ページに"100年に1人の逸材"と呼ばれる男の溢れんばかりの魅力が詰まった究極の1冊。これを読んだら最後、間違いなくアナタも棚橋選手の虜になっていることでしょう。



『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』
 著者:棚橋 弘至
 出版社:飛鳥新社
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