魅力溢れる名車グラン・トリノ、イーストウッドら映画人も魅了。

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クリント・イーストウッド監督の名作「グラン・トリノ」(2009年)で、タイトルになるほどの圧倒的な存在感を示し、主人公の心情や価値観の象徴として映画に登場したフォードの名車“グラン・トリノ”。6月7日に日本公開を迎える「ニード・フォー・スピード」では、シェルビー・マスタングをはじめ、ランボルギーニ・エレメント、マクラーレンP1、ケーニクセグ・アゲーラRなど総額10億円相当の超高額スーパーカーが登場する中、主人公トビーの愛車として“グラン・トリノ”が選ばれた。イーストウッド監督、そして「ニード・フォー・スピード」でメガホンを握ったスコット・ワウ監督をこれほどまで魅了した“グラン・トリノ”の魅力とはいったいどこにあるのだろうか。

イーストウッド監督の「グラン・トリノ」は、朝鮮戦争従軍経験を持つ、現在はフォードの工場で働く気難しい主人公が、近所に引っ越してきたアジア系移民一家との交流を通して、自身の偏見に直面し葛藤(かっとう)する姿を描いた作品。“グラン・トリノ”は物語の中で主人公の大切なもの、引いては過去から続く考えや価値観の象徴的存在だ。

一方、「ニード・フォー・スピード」の舞台は米ニューヨーク州マウントキスコ。トビー・マーシャル(アーロン・ポール)は、父親が遺した自動車修理工場「マーシャル・モーターズ」を継ぎ、チーフ・メカニックのジョー(レイモン・ロドリゲス)、ハイテクに通じたフィン(ラミ・マレック)、パイロットの資格を持つベニー(スコット・メスカディ)、そしてトビーを兄のように慕うピート(ハリソン・ギルバートソン)ら4人の仲間たちと共に働いていた。

父親が多額の負債を残して亡くなったため、工場経営は火の車だったが、トビーと仲間たちは週末になると、非合法の公道レースに出場して賞金を稼ぎ、わずかずつ借金返済に充てていたのだ。しかしレースの真の目的は、彼らのスピードとドライビング・テクニックへの挑戦だった――。映画冒頭、主人公トビーは愛車グラン・トリノ1969に乗り、GTO、ポルシェ94、カマロなどの名車を振り切りマウントキスコでのレースで勝利。5,000ドルもの賞金を勝ち取るシーンが描かれている。

メガホンを執ったスコット・ワウ監督は、本作に登場するマッスルカーの選定基準を次のように語る。

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いつくかの理由から、マッスルカーには魅力があります、カマロにしろ、ムスタングにしろ、GTOにしろ、1965年から72年の車には魅力があるのです。

レースに登場させる車を選ぶ段階になったとき、私は、しばらくお目にかかっていない車を選んで、「そうそう、高校のとき俺の友達がアレに乗ってたな。本当にクールだったなぁ」と人々に言わせたいと思いました。それに、カマロのような車を無視することなんてできませんしね。あんな名車を登場させない手はありません。ポンティアックGTOも同じです。絶対に使わなければならない車だったのです。ものすごくクールですからね。

多くの時間を要してようやく探し出した、トビー・マーシャルを体現する車はグラン・トリノです。68年製のグラン・トリノです。私たちはあらゆるボディー・スタイルを見て回りましたが、あの車は、あまり見覚えがないように感じられ、実にクラシックで、実にクールで、トビー・マーシャルが他とは違う存在だということを見事に表現していると思えたのです。彼は他とは違う男であり、あの車も他とは違う車という形で見事に一致します。また誰も見たことのないような外国の車も使いたいと思っていました。すべて1965年から72年、80年にとどめたいと考えました。

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「バニシング・ポイント」でのダッジ・チャレンジャー、「トランザム7000」でのトランザム、「ブリット」でのフォード・マスタングなど、名作と呼ばれる車映画では、物語内において車は一種の心情の代弁者だった。グラン・トリノはその代表格。CG全盛期の現在、こうした名作の車映画に回帰した「ニード・フォー・スピード」を通して、“車から映画を味わってみる”のもいかがだろうか。

映画「ニード・フォー・スピード」は、6月7日(土)丸の内ピカデリー・新宿ピカデリーほか全国ロードショー。