中国の農村部にも義務づけられるようになってきた遺体の火葬。しかし「火葬は侮辱的だ」とする高齢者が、「土葬して」との遺書を残して次々と自殺を図っている。「5月31日までは土葬が可能」と発表した安徽省も、その現状に頭を抱えているもようだ。

長年の風習、宗教、文化、思想などにより、世の中には火葬を善しと思わない人々も多々いる。中国ではすでに人の亡骸は火葬されることが主流となっているが、儒教の教えが色濃く残っているこの国では土葬こそが幸せな“あの世”を約束される埋葬の形。火葬は侮辱的、人の体を冒涜するような行為だと感じる人々がいまだに多く、「土葬して」との遺書を残して自殺を図る高齢者は増えるばかりだそうだ。

現在その状況に頭を抱えているのが、中国東部の安徽省(あんきしょう)だ。今年4月、「土葬のための空き墓地がもうない。6月1日以降はすべての亡骸を火葬する」と発表。農村部を中心に高齢者が「地獄に落ちる」と騒ぎ、大混乱に陥った。その結果、3つの村で高齢者の自殺が急増しているとのこと。遺書には決まって「早く私を土葬して」とあるという。

仏教では火葬が善しとされることもあり、中国の都市部ではすでに火葬が当然となっているが、地方農村部でそれが浸透するのはなかなか困難な様子。数年前、政府が地方においても火葬を徹底させたいとの方向で強く働きかけた際にはやはり高齢者が相次いで自殺を図り、波紋を広げていた。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)