オルタナ以降のロックの足跡を緻密な考察で検証した書籍『オルタナティブロックの社会学』。著者の南田勝也さんが、90年代以降のロックとは何なのかという問いを念頭に、グランジから始まるオルタナティブロックの歩みを詳細に論じています。
 
 本書ではまず、オルタナティブロックの歩みとして、「ロックミュージックの歴史における最後の伝説的人物」であるニルヴァーナのカート・コバーンを取り上げるところから始まり、多様な観点からオルタナティブロックの分析がなされていきます。そしてその世界の音楽シーンの動きを受けた、日本の90年代以降のロック史、さらにはインターネットの存在抜きには語ることの出来ない現代の音楽シーンにまで触れられていきます。

 オルタナティブロックを分析するにあたって、本書には思わず気になるフレーズが登場します。例えば、ノイズやエフェクター等の存在によってもたらされたサウンド面の変化を「波の音楽から渦の音楽へ」というキーワードを用いて、南田さんは説明します。あるいは、90年代後半から2000年代にかけて、ロックが身体の躍動を一義に置くようになった現象を、「ロックのスポーツ化」という言葉で形容します。

「音圧を高めてノイジーなギターでリフを刻むオルタナティブ以降のロックは、身体を激震させることに特化したかのようなサウンドで、ライブ会場に音の渦を生み出し、聴衆を忘我的な踊りと汗まみれの興奮に誘っている」(本書より引用)

 こうした「ロックのスポーツ化」という現象。南田さんは、メロコアとスケートボーディングの関係や、サーフィンソングと波乗り体験との関係、またブリットポップのミュージシャン達のアディダスのジャージやサッカーシャツといったスポーツブランドの着こなし、そして1990年代中盤以降急速に一般化した野外ロックフェスティバル......といった観点からも、ロックとスポーツとの相関関係を指摘していきます。

 グランジから始まり現在まで続く、90年代以降のオルタナティブロックの歩み。そのグランジという名称を担ったカート・コバーンが命を絶ってから20年を迎えた2014年。その間の歴史的文脈を辿ることで、現在の、そして未来の音楽の姿がうっすらと見えてくるのではないでしょうか。



『オルタナティブロックの社会学』
 著者:南田 勝也
 出版社:花伝社
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