メッシと滅私 「個」か「組織」か?

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開幕まで3週間を切ったのに観戦チケットが届かない、スタジアムの建設は間に合うのか、地元警察官のストライキで治安は大丈夫か……、サッカーW杯ブラジル大会は波乱の予感だ。一方、日本代表への期待はこれまでにないほど大きい。競争の激しい海外リーグで経験を積んだメンバーがどんな働きを見せるのか。

サムライの精神はもっと強くなるか?

『メッシと滅私 「個」か「組織」か?』

本田圭佑選手がインタビューで「個の力」の大切さを強調する場面は印象的だ。ヨーロッパでの体験が、日本はこのままではいかんと危機感を覚えさせるのだろう。集英社の『メッシと滅私 「個」か「組織」か?』(著・吉崎エイジーニョ、756円)は、本田選手をはじめ、長友佑都選手や岡崎慎司選手といった「海外組」へのインタビューを通して、彼らが受けたカルチャーショックを解説。譲り合う日本人選手と、自分の力を見せつけようとする外国人選手の違いを指摘する。著者は、チームのレベルアップには、自己主張するメンタルの強さが必要だが、生まれ育った国の宗教や文化が深く影響していると仮説を立てる。ダジャレの効いた題名だが、いたって真面目な内容だ。果たして、日本からメッシのような歴史的プレイヤーが生まれる日は来るのか。

基本ルールから出場チーム分析まで

『これであなたもサッカー通 歴史からトリビアまで ワールドカップと日本の挑戦』

「今のは、逆サイドのケアが効いた」「前線でためておけば」など、通な言葉を使ったら周囲から羨望のまなざしで見られるだろう。いや、それぐらいの知識があれば、ゲーム観戦がもっと楽しくなるはずだ。4年後にはまた熱狂の季節がやってくる。勝敗だけで満足するのはもうやめにしないか。共同通信社の『これであなたもサッカー通 歴史からトリビアまで ワールドカップと日本の挑戦』(著・名取裕樹、1080円)は、サッカー報道歴25年の記者による連載を書籍化したもの。前述の通な言葉よりもっと初歩的な競技ルールから、ブラジル大会出場32チームのプロフィルや組み合わせ抽選結果、日本サッカーの足跡までを網羅する。ガイドブックのように、ページをめくりながら観戦したい。

テレビの前で妄想ブラジル旅行

『2014サッカーワールドカップブラジル大会ハンドブック開催12都市ガイド』

サンパウロ、リオデジャネイロは小学生でも分かるが、日本戦が開催されるレシフェ、ナタル、クイアバといった地名は初耳だ。じめじめと蒸し暑いジャングルのイメージがあるが、国土面積は世界第5位である。砂漠のように乾燥した地域もあるという。文化も人柄も多様に違いない。同学社の『2014サッカーワールドカップブラジル大会ハンドブック開催12都市ガイド』(著・Equipe J、大住良之、1836円)は、地球の裏側からテレビ中継を見守るわれわれにとって、まるで現地を旅しているかのような妄想を掻き立てる一冊だ。ジーコやペレなどスター選手の横顔や、ブラジルがなぜ最強国になれたのかといったサッカーコラムから、食生活、音楽、交通情報、会話集まで、読めば現地の人と交流した気分になる。