新横綱・鶴竜の誕生や、ようやく頭にかわいいチョンマゲが乗った新鋭の遠藤など、話題豊富な5月場所だが、やはり土俵を締めるのは29回目の優勝に虎視眈々の白鵬だ。とはいえ、場所前の調子はいまひとつ上がっていなかった。
 「もう白鵬も横綱になって8年目ですからね。あちこちにガタが出始めるのは致し方ない。別の見方をすれば、白鵬もいよいよそういう時期に差し掛かってきたということですよ。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)も、もうこれからは今までのようなペースで優勝はできないなと話しています」(担当記者)

 確かに、以前に比べて体調不良やケガを訴えることが増えてきている。先場所は勝負どころの終盤に3連敗して鶴竜に優勝をさらわれ、「やっぱり(13日目の琴奨菊戦で痛めた右手の)ケガが響いたか」と心配された。場所後も「こんなことは初めて」というインフルエンザで4日間も寝込み、春巡業でも土俵に上がらない日があったし、恒例の場所前の出稽古もたった3日間だけだった。

 そういえば4月29日の横審の稽古総見でも、日馬富士や鶴竜らの激しい申し合いを横目に、1人だけ新小結の嘉風や新入幕の荒鷲らの軽い相手にお茶をにごし、お目付け役の内山斉委員長から「ちょっと手抜きし過ぎだ」と苦言をもらうシーンもあった。

 稽古量が落ちれば威圧感もスタミナも薄れる。35歳まで現役を務め、29歳以降だけで22回も優勝した千代の富士(現九重親方)は、稽古場でライバルや有望力士らを徹底的にやっつけ、「あの人にはどこからいっても勝てない」というオーラを保ち続けた。

 果たして白鵬はこの域にまで届かないのだろうか。今場所は結果以上に内容も気になるところだ。