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ハイチュウ伝染病”は拡大の一途を辿る

 ヤンキースのクラブハウスで「ハイチュウ中毒者」が続出していることが地元メディアに取り上げられ、話題となっている。日本製のお菓子が名門球団で大ブームになっていると、ESPNが報じた。

 ヤンキースはスプリングキャンプの開始時から日本製のキャンディの備蓄を開始。カラフルなスイーツがキャンプ地のフロリダ州タンパのクラブハウスで配給されると、わずか1分間でなくなってしまったという。この“伝染病”は拡大する一方で、開幕後もヤンキースタジアムや遠征先のロッカールームに登場するようになった。

「最近では(20、21日に試合を行った)カブスの本拠地リグレー・フィールドにも登場した。このキャンディの名前は“ハイチュウ”という」

 特集記事ではこう説明しており、森永製菓の大ヒット商品がいかにピンストライプの名門で人気を博すようになったのかも伝えている。その内容によると、大ブームの原因を作った人物として、「ハイチュウの伝道師は黒田博樹だ」とし、「そこから中毒者が続出している」と報じている。

 その味と食感は大好評で、22日のホワイトソックス戦での先発前に、デビッド・フェルプス投手は「バブルガム(米国製風船ガム)とスターバースト(米国製キャンディ)の間のような感じだ」と説明したという。

ヤンキース最大の中毒患者は、CC・サバシア

 他の選手も完全に魅了されている。昨年レッドソックスで上原浩治投手や田澤純一投手と同僚だった救援投手のマット・ソーントンは、ハイチュウの持つ抗い難い魅力を“ドーピング”にまでたとえて、こう表現している。

「最初にハイチュウを紹介されたのは去年、ボストンでのこと。クラブハウスで最初に見た時から、チームで大ウケすると一瞬で分かった。すごく美味しいんだ。禁止薬物か中毒性の高い成分が入っているのか知らないけれど、あれ(ハイチュウ)は間違いなく食べた人間をノックアウトして、それに気付かせないようなものなんだ」

 ハイチュウは長年に渡り、米国でも東海岸と西海岸でも販売されていたが、多くのヤンキースの選手が口にしたのは今年のスプリングキャンプが初めてだという。ただ、実はレッドソックスでは日本人選手の影響で数年前から浸透していた。

 現在も、主に田澤が“伝道師”としての役割を果たしており、4月にフェンウェイパークで行われたヤンキースとの3連戦では、「From Taz(田澤のニックネーム)」と書かれたハイチュウ入りの大きな箱が記者室に置かれたことがある。この時もハイチュウはあっという間に“売り切れ”となっており、米国人の舌を魅了する味であることは確かなようだ。

「みんな食べ尽くすと、おかわりを求めてくる」

 通訳を介してこう語った黒田によると、ヤンキースでの最大のハイチュウ中毒患者は、現在は負傷で離脱中のエース左腕CC・サバシアだそうだ。また、それは中継ぎのショーン・ケリーだと指摘する選手もいる。一方で、ジョー・ジラルディ監督は「私も『食べたことはない』とは言えない」と語っている。

誇らしげにハイチュウを語る黒田博樹

 内野手のケリー・ジョンソンは、ハイチュウの魅力と闘い続けてきたという。

「一番最後に食べたのが多分、僕じゃないかな。初めて食べたのは2週間前だったんだ。でも、その後の3日間で50個食べていた。それでも、自分自身をハイチュウ中毒患者とは思っていないよ」

 3日で50個という量ですら中毒と定義されなければ、他の選手は一体どれだけ口にしているのだろうか。そして、ハイチュウを大量摂取するに至ったヤンキースに、懸念すべきことはあるのか。子供時代から慣れ親しんできた田中は「多くの人が食べてきていますので、何も心配いりません」と通訳を介して説明しているという。田中自身もクラブハウスでハイチュウを楽しんでいるようだ。

「試合が終わる前から新しい箱の中身がなくなっているのを見ると、無茶苦茶、笑えるんだ。クラブハウスにおける伝染病と言えるとね」

 ソーントンはこう説明している。

「みんなに気に入ってもらえたのはいいこと。食べることでリラックスできればそれでいい。日本製のものを食べてもらって、それを気に入ってもらえるのは嬉しい」

 黒田は誇らしげにこう話していたという。日本人選手3人が重要な役割を果たしているヤンキースだが、ハイチュウも欠かせない存在となっているようだ。