(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会

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第86回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表となり、日本アカデミー賞ほかさまざまな映画賞を総なめにした映画『舟を編む』が先月、地上波でも放送され、改めて多くの人々が楽しんだようだ。そして、本作を手がけた石井裕也監督の最新作が5月24日(土)から公開となる。タイトルは『ぼくたちの家族』。

新しい辞書「大渡海」の編纂(へんさん)に15年もの月日をかけ奮闘するという、ある意味“壮大な”挑戦を描いた前作とは違って、どこにでもいそうな、ある家族に起こった出来事を映画化。
一体どんな内容なのか、まずはストーリーからご紹介しよう。

■ ストーリー

2人の息子を持つ母親、玲子(原田美枝子)は最近やけに物忘れが激しい。彼女の様子がおかしいと感じた夫・克明(長塚京三)と長男・浩介(妻夫木聡)は玲子を病院に連れていくと、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告されてしまう。次男・俊平(池松壮亮)にもその事実を知らされ、残された家族で何とか玲子を助けようと立ち向かおうとするも、これまで隠されていた家族のさまざまな問題が明るみに出る……。

石井監督いわく、素晴らしい俳優たちの“演技合戦”が見られる映画


本作は、小説『ひゃくはち』が映画化されるなど注目の新進作家、早見和真の実体験を描いた同名小説を、石井裕也監督が「僕自身の話だ」と脚本も担当し映画化。これまで数えきれないほど作られてきた家族映画の中でも、どのジャンルにも入らない作品として業界内外から高い評価を受けている。

その理由のひとつとして挙げられているのが、監督自身も自負する役者たちのリアルな演技だ。

かつては引きこもりだったが、今は真面目に会社に勤め、妻もいる長男の浩介役には妻夫木聡。一見頼りなさげだが、妻の病気が発覚した途端に弱々しくなる父親と、まだ大学生でどこかひょうひょうとしている弟とのはざまで、母親を、この家族を何とかしなくてはという責任感とプレッシャーに打ちのめされそうになる長男の葛藤を見事に表現。このところ、妻夫木さんは“ちょっと頼りない感じ”の役で、独特の味わいを見せてくれる。そういえば、トヨタのCMシリーズでの“のび太”くんもけっこうハマり役だったような気も?(ちなみに来月公開の中島哲也監督『渇き。』では全く真逆なタイプの刑事役で役所広司さんを追いつめている)

一方、弟、俊平役の池松壮亮は、10歳の時に『ライオン・キング』のヤングシンバ役でデビュー。『ラスト・サムライ』ではトム・クルーズと心を通わす少年役で映画デビュー、今年3月に公開された映画『愛の渦』では主演を務め、現在話題のドラマ『MOZU』に出演するなど、今最も注目されている若手俳優のひとり。本作では、お調子者で責任感のなさそうに見えるのだが、実は……という非常に重要な役どころを繊細に演じ、公開後もさらに注目を集めそうだ。

父親には、ベテラン俳優の長塚京三。病気になり、認知症のような症状が出てしまう天真爛漫(てんしんらんまん)な母親役には、原田美枝子。特に原田さんの演技は、このお母さんがいなくなっちゃうなんて、男3人には耐えられないよね……と思わせる母性と愛にあふれた存在感を発揮。ともすれば暗い方向へいきがちな物語を、静かに支えている。

■ さいごに

公式サイトには、著名人から寄せられたコメントだけでなく、劇場支配人からの感想も寄せられ、「自身の家族にも似た状況がかつてあったので……」「見終わった後、思い出し泣きをしてしまった。」「どの家族にも起こりうる話……」など、それぞれの思いが語られている。心の支えになっていた存在を失いかけ、不器用な男たちが、目の前の壁を何とか超えていこうと“悪あがき”する姿は、性別、立場によって違うさまざまな気づきや感動をもたらしてくれそうだ。(mic)

ぼくたちの家族は5月24日(土)より公開