世界の盗塁王、福本豊にホームランについて、先発にこだわった村田兆治に中継ぎの醍醐味など、得意分野とは真逆の内容や、過去の失敗などについて質問する『俺に訊くな』企画をプロゴルファー編で復活。71歳のいまも現役プロゴルファーとして活躍する青木功に「引き際の美学」について訊いた。

 日本人男子初の米ツアー優勝をはじめ、日米欧豪の世界4大ツアーすべてで勝歴を持つ、言わずと知れたゴルフ界の重鎮。現在71歳となった青木功プロは、永久シード枠で、今もレギュラーツアーに出場し続けている。

 ただ今年の成績は今ひとつで、初出場の「つるやオープン」と、翌週の「中日クラウンズ」では予選落ち。続くシニアツアーの「京楽カップ」では、ひざの痛みで途中棄権した。

 さすがに限界も近いのでは……。恐る恐る、話を聞いた。

「なんだ、週刊ポスト? 飛び込みで俺を取材するなんて、いい度胸だな」

 と対応した青木プロ。返す言葉にも凄みがある。あのう、お聞きしたいのは長く続ける秘訣といいますか、「引き際の美学」というのはどのようにお考えなのかなと……。

「なに? すごい質問をするね。ゴルフは何歳になってもできるスポーツ。自分には生涯、引退はないよ」

 今年2月には日本プロゴルフ殿堂入りの表彰を受け、セレモニーで「生涯現役」を宣言している。

「ゴルフはやらされているんじゃなくて、好きでやっているんだから、やるという前向きな気持ちがないとダメだ。そのためには、健康管理をしっかりやって、真剣に取り組む。俺にはゴルフをやれる喜びがあるから、長く続けられる。まだまだ技術面で頂点に行き着いていないんだから、辞めるに辞められないよ」

 飽くなき探求心、向上心。これほど長く現役を続けられる理由は、「俺は初優勝が遅かったから(29歳・プロ入り8年目)、こうして70を超えてもプロゴルファーを続けられるのだと思う」と振り返る。

 アマチュアにも長続きの秘訣はあるのだろうか。

「アマチュアは技術なんか気にする必要はないさ。やって楽しければいいんじゃないの。ただ、どんなことでもうまくいくことはうれしいし、この年齢になれば、エージシュートという目標もあるしね。長くやっているオレたちにしか与えられない資格なんだから、いつまでも挑戦する。それでいいんじゃないの」

 シンプルな回答には、ゴルフの哲人の風格が備わっているようだった。

※週刊ポスト2014年5月30日号