【うちの本棚】214回 空が好き!/竹宮恵子

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「うちの本棚」、今回は竹宮恵子作品集から代表作のひとつ『空が好き!』を取り上げます。
 14歳の天才詐欺師タグ・パリジャンが活躍する必読の作品です。

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空が好き!-02

 作品集5、6巻には代表作のひとつ『空が好き!』シリーズが収録された。第1部、第2部の本編に加え『まるで春のように!』『NOEL! ノエル』の中・短編2作も含まれる。

 14歳にして詐欺師という主人公タグ・パリジャンが活躍する『空が好き!』。両親を亡くし街から街を漂うように生きるタグは、大人びたところもあり、詐欺師として生きるだけあって裏社会にも通じているようでもあるのだけれど、その実、孤独に耐えていたり、愛情に飢えていたりする。そんなタグを竹宮は存分に描ききっていて、これが読者にも受け入れられて代表作になるほどの人気を得る。クールでドライな自分を演出しながらウェットな本性に自ら戸惑ったりするのは竹宮作品に登場する主人公たちに共通の性格ともいえるだろう。

 女の子にモテモテで、そのあしらい方も手慣れているタグ。通常の少女漫画であれば、それまで出合わなかったタイプの女の子に惹かれて…といった展開になるところだろうが、タグはどうも女性には本気になれないタイプらしい。というより、明確には描かれないが少年同士の恋愛を匂わせているのは確かだ。これは第一部より第二部、そして『NOEL!』と話が進むほど明確になっていく。

 第一部、第二部、『NOEL!』は登場人物も共通した連続した物語だが『まるで春のように!』はタグが訪れたとある街での物語で、独立した短編。

 自由に生きるタグという少年は竹宮のひとつの理想なのだろうし、読者にとっても憧れる対象だろう。もちろんその自由の代償としてタグはさまざまな努力をしたり、リスクも負っているのだが、それすらも楽しんでいるように見える。

 作者が楽しんで描いていただろうことは容易に想像できるが、だからこそ読者もタグ・パリジャンというキャラクターの魅力に惹かれたのだろう。竹宮恵子のファンならずとも、少女漫画の代表作のひとつとして一読の価値のある作品ではないかと思う。

初出:空が好き!(第1部)/小学館「週刊少女コミック」昭和46年12〜21号、まるで春のように!/小学館「週刊少女コミック」昭和47年5号、空が好き!(第2部)/小学館「週刊少女コミック」昭和47年32〜41号、NOEL! ノエル/小学館「別冊少女コミック」昭和50年11〜12月号

書 名/空が好き!(全2巻)
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/B6判
定 価/第1巻・450円、第2巻・480円
シリーズ名/プチコミックス・竹宮恵子作品集5、6
初版発行日/第1巻・昭和53年10月15日、第2巻・53年12月15日
収録作品/第1巻・空が好き!、まるで春のように!、第2巻・空が好き!、NOEL! ノエル

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/