一流のプロスポーツ選手に、得意分野とは真逆の内容や、過去の失敗などについて思いきって質問する名物企画『俺に訊くな!』。今回はプロゴルファー編として、プロデビュー戦で101打の大叩きをしてしまった大津将史(おおつ・まさし/42)に100打を切る秘訣を聞いた。

 事件が起きたのはプロゴルフツアーの今季開幕戦「東建ホームメイトカップ」だった。主催者推薦で出場し、これがプロデビュー戦となった大津将史が、初日になんと101を叩いたのである。

 日本のプロツアーにおいて、100を切れなかったのは史上2人目。しかも1人目の鈴木規夫は、スコアカードの誤記が原因(本来9番ホールのスコアを書くべきマスにハーフの合計42を記入。トータル122でカードを提出した)だったため、“実力”で「100叩き」をした初のプロとなってしまった。2日目は83と意地を見せたが、結局通算42オーバー、最下位の成績で予選落ちとなった。

 その大津プロに「100切りの秘訣」を聞きたい。取材を申し込むと大津プロは快諾。待ち合わせ場所から彼の愛車・ポルシェに同乗して、岐阜県内にある自宅兼事務所へ向かった。

 広大な敷地にある大邸宅。えんじ色の絨毯が敷かれたオフィス内には、真っ赤なボルボのクラシックカーが飾られており、天井からは豪華なシャンデリアがいくつもぶら下がっている。ピンクやオレンジといった、派手なゴルフウェアでも話題になった、大津プロをそのまま表わすような家だ。

 大津プロはまず、当日の様子を振り返った。

「デビュー戦なので、コースには両親と妻、子供3人も応援しに来てくれていたんです。しかし実際にプロのコースに出ると、思うように体が動かなくなってしまった。初日のスタートホールでティショットをミスし、残り200ヤードを打つとバンカーにイン。そこからトップしてアゴに突き刺さり、ダフリ、ホームランと続いて、パー4で8を叩いた。ここで早くも、心と体が分離してしまいました。挽回しようと考えても、体が動かなくて……」

 悪戦苦闘の前半は53を打ち、後半も48で初日を終了。「悔しくてその夜は、なぜか涙が止まらなかった」といい、一時は棄権も考えさせられた。しかし途中で諦めるのはどうなのかと1人決断し、2日間のプレーを全うした。

 さてその経験から、100切りの秘訣を聞いてみた。

「なかなか手厳しい質問をしますねェ……反対に、僕が教わった方がいいんじゃないかな(苦笑)。ただ1ついいたいのは、正しい努力をしてほしいということ。いつも思うのは、ゴルファーというのは自分のことが一番分かっていない。僕も正しい努力をしていなかった。再現性が大事なスポーツなのに、非常事態になった時に正しいスイングを再現できるほど、全然身に着いていなかったんです。だからプロの舞台で大叩きをしてしまった」

 ひとえに、あの「100叩き」は自分の練習不足が原因だったと語る。

「こんなスコアを出したことでご迷惑をかけた方もたくさんいた。ギャラリーにも申し訳ないことをしたと思っています。しかし諦めずプレーしたことで、2日目には徐々に感じを掴み、最後はきちんとスコアを作れた。やっぱり、どんなに途中で辛い思いをしても、最後までやり通す。諦めないことが、100切りの秘訣であり、ゴルファーとして、人としての一番の要であると思います」

※週刊ポスト2014年5月30日号