ツイートの無断転載本は有りか無しか?『アホ男子かるた』大炎上のその後

5月26日、Twitter投稿物の出版について、日本国内である事例を作った一冊の本が発売される。
アスペクト社から出版されるその本のタイトルは『#アホ男子母死亡かるた』。この本は2012年にTwitterで流行した人気ハッシュタグ、「#アホ男子母死亡かるた」を本にまとめたもの。

編者にはハッシュタグ発案者のイシゲスズコさん、TwitterまとめサービスTogetterに投稿をまとめた福嶋祐子さんらが名を連ねている、正真正銘の“元祖”本だ。

情報に鋭い方はここまでの説明で既にお気づきかと思われるが、この本は、今年1月に世間を騒がせた、ツイート無断転載本『アホ男子かるた』に関わる本なのである。

一連の騒動を乗り越え、“元祖本”が出版されるまでの経緯を、今回改めて紹介したいと思う。

【関連:Twitter無断転載で炎上の『アホ男子かるた』―出版社が発売無期延期を発表】

アホ男子母死亡かるた

 
<経緯>

■発端

2012年10月、イシゲスズコさん発案のハッシュタグ「#アホ男子母死亡かるた」がTwitterで人気を博した。
母親からみたら理解不能な息子の行動を、かるた風に面白おかしく表現したもので、当時多くの人が賛同。

【き】気をつけてね、と、言ってる側から怪我をする
【し】静かな時は悪事か病気。

など、抱腹絶倒のかるたが続々投稿され、当時テレビで紹介されるなどもした。

■発覚

それから約1年と少し。2014年1月に、株式会社ユーメイド(以下、ユーメイド社)という出版社から、2月に出版を予定している一冊の本の内容が公開された。
本のタイトルは『アホ男子かるた』で、著者は「甘井ネコ」さん。甘井さんは、イシゲさん発案の「#アホ男子母死亡かるた」にも参加しており、得意のイラストを生かし、投稿者の中では唯一「絵札イラスト」を描いて投稿していた人物だ。

そのため、出版については2013年12月頃から噂されていたものの、実際の投稿者とあり、『アホ男子かるた』は本人の投稿作やオリジナルをまとめた本と目されていた。
しかし1月に発表された公式サイトの情報、『アホ男子かるた』の宣伝用ブログ、そして甘井さんのTwitterに掲載された情報によると、その殆どに「#アホ男子母死亡かるた」の投稿作が含まれると判明。さらには、タグ発案者であり、【あ】に投稿作が採用されている、イシゲスズコさんはじめ、他の投稿者誰からも許可を得ていない事が分かり大騒動になったのだ。

他にも、ユーメイド社公式サイトの『アホ男子かるた』特設ページでは、「#アホ男子かるた」をつけてTwitterに投稿すると、採用されることが告知されていた。
騒動勃発当時、筆者もこのタグを確認しているが、投稿者は5アカウント、投稿作は10程度だと記憶している。
そして投稿作いずれもが「#アホ男子母死亡かるた」の改変作で、当時とは別のアカウントから投稿されており、さらにTogetterには「#アホ男子かるた」まとめページまで用意されていた。このため出版社による、意図した盗作疑惑まで持ち上がり騒動は拡大の一途に。

▼改変例:
【あ】朝送り出すだけで重労働 #アホ男子母死亡かるた
【あ】あさは送り出すだけで重労働 #アホ男子かるた

■炎上

騒動発覚後、タグ発案者のイシゲスズコさんはじめ、多くの人が『アホ男子かるた』著者である甘井さんにTwitter上で公開質問を行っている。

それについて甘井さんは

「書籍化に際し、出版社さんのサイドで、Twitter社さん等の許可などはクリアされているという事で、このお話を受けた次第です。」
「私も投稿した一主婦で、法的な事とか、許可とかは全くわからないので、当初心配はしておりましたが、その辺りの問題はクリアされているとの事でした。」

といった回答を示した。甘井さん自身、この本の出版が無許可であることを知らなかったようだ。

しかしこの段階でも、ユーメイド社から各投稿者に一切の連絡はされておらず、騒動はただただ拡大するばかりに。
理由は不明だが、この回答をした数日後に甘井ネコさんのTwitter及び、ブログは削除され、以来一切の意見を聞くことが出来なくなってしまった。

■発売無期延期

こうした騒動を受け、1月30日、ユーメイド社は『アホ男子かるた』の発売無期延期を発表。同時に、投稿者に無許可での出版判断の根拠も示した。

アホ男子かるた

根拠については

「関係各所に問い合せた結果、ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドラインに準拠した形での利用は問題ないとの判断に至った」

と説明。

また投稿者に許可を求めなかったことについては

「事前にツイッター投稿者の皆様へ個別にご連絡をさせていただくことも検討いたしましたが、ツイッターの特性上、個別にご連絡を差し上げることが非常に困難であり、現実的ではないとの判断により」

と説明していた。

さらに2月に入り、追加のお詫び文を公開。1月30日時点では「関係各所」とされていた問い合わせ先が、Twitter社であることが明かされた。
また、掲載される全ての投稿者の許諾を得て、今後出版へ向け動いていくことも発表された。後、「アホ男子かるた 広報(@umadepr)」というアカウントで許諾を求めるツイートを約40名に対し送信している。

■発売中止

2月の追加でのお詫び文公開以降、「アホ男子かるた 広報(@umadepr)」を通じ、オリジナル投稿者へ連絡するものの、ほぼ全員から拒否の意向を受けていたようだ。
そして3月7日、公式サイト上に「発売中止」を掲載。同時にTwitter及びFacebookでも告知している。

なお、許可を求めるツイートはイシゲさんにも送られていた。その際、イシゲさんは一連の騒動について疑問を投げかけ回答を求めている。しかし、それら一切に対して回答はなく、また3月7日の発売中止の報告については、許可を求めた約40名に対し個別の報告はなかったようだ。

■出版社公式サイトから全ての情報が削除

ユーメイド社は3月末頃から公式サイトのリニューアルを開始した。筆者もまめにチェックしていたわけではないが、サイトを見に行く度に「リニューアル中」の告知がされ、近況については全てFacebookページへ誘導されていた。
そして4月末頃に、リニューアルが完成。その際、リニューアル以前のお知らせから、一連の騒動のお詫び文全てがサイト上から見当たらなくなってしまった……。

また、今回記事執筆のため確認していたところ、騒動勃発当時Togetterに作られていた「#アホ男子かるた」のまとめページは削除、さらにTwitterの「#アホ男子かるた」に投稿されていた約5名分の投稿作全ても見当たらなくなっている。こちらは筆者の見落としかもしれないし、筆者の閲覧環境が悪いだけなのかもしれない、タグは生きているので気になる方は確認して欲しい。

<問題点>

■ツイートの著作権のありか

騒動発生当時、当媒体でも2回記事にして紹介したが、その際多く寄せられる意見があった。

「Twitterのツイートに著作権はない」
「Twitterの著作権は投稿した時点で全てTwitter社に譲渡される仕組みだ」

そのため今回のイシゲさん達の主張についても「そもそもイシゲさんら投稿者に権利はなく筋違いだ」と判断している人が多いようだった。
Twitterに投稿したツイートには本当に著作権がなく、Twitter社に権利全てが譲渡されてしまうのか?

(1)Twitterに投稿したものは全てTwitterに権利を譲渡したことになるのか?

まず、Twitterの利用規約を確認してみると規約の中に以下のような記述を見つけることができた。

サービス利用規約
5.ユーザーの権利

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介して、自ら送信、投稿、または表示するあらゆるコンテンツに対する権利を留保するものとします。ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿、表示することをもって、媒体または配布方法(既知のまたは今後開発されるもの)を問わず、かかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配布するための、世界的な非排他的ライセンスを(サブライセンスを許諾する権利と共に)当社に対して無償で許諾するものとします。

    ヒント:このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧できるようにすることを認めたことになります。

ユーザーは、このライセンスに、Twitterが本サービスを提供、宣伝および向上させるための権利が含まれること、ならびにコンテンツ利用に関する当社の条件に従うことを前提として、本サービスに対しまたは本サービスを介して送信したコンテンツを、他の媒体やサービスで配給、配信、配布または公表することを目的として、当社のパートナーとなっている他の会社、組織または個人に対して提供する権利が含まれることに、同意したものとします。

    ヒント:Twitterは、エコシステムパートナーによるユーザーのコンテンツの取扱いについて、進化し続けるルールを定めています。これらのルールは、ユーザーの権利を尊重しつつオープンなエコシステムを実現するためのものです。ただし、ユーザーのコンテンツをユーザー自身が所有していることには変わりありません−ユーザーのコンテンツ(コンテンツには写真も含まれます)の所有権はユーザーにあります。

<以下略>

この章では、ユーザーがコンテンツを投稿した時点で、Twitter始めパートナー企業、組織、または個人の利用について、報酬を支払うことなく自由に使える権利をユーザーはTwitter社に対し許諾したものとする。といった内容が書かれている。

一見するとTwitter社に全ての権利が行ってしまうように見える。しかしここで注目いただきたいのが

・世界的な非排他的ライセンスを(サブライセンスを許諾する権利と共に)当社に対して無償で許諾するものとします。
・ユーザーのコンテンツ(コンテンツには写真も含まれます)の所有権はユーザーにあります。

ユーザーは単に投稿物の自由な使用権(サブライセンス権含む)をTwitter社に無償許諾しているだけであり、所有権そのものはユーザー側にあると書かれている。つまり、大元の権利自体はユーザー側にあるのだ。

なお、Twitter内だけの利用に関しては上記規約で成立するが、APIと呼ばれる仕組みを使った外部での使用、そしてテレビ・紙媒体などの使用については別途ガイドラインが用意されている。
もしツイートの外部利用を検討されている場合には、この規約だけを見るのではなく、各パートナーに求められるライセンス規約やガイドラインなど付属する約束事にもそれぞれ準拠して欲しい。(例:ブロードキャストのガイドラインなど)

話を戻すが、ここで気になるのが「所有権」という言葉。一応書いておくが「所有権」とは自由に使用・収益・処分する権利を指す。意味合い的には「著作権」の特徴によく似ている。

これは筆者の解釈になるが、Twitter利用規約の準拠法、カリフォルニア州法では140文字という短文は、著作権として認められない可能性が高い。そのため、著作権ではなく「所有権」という表現をあえて代替語として使用している、もしくは幅広く意味を持たせるためあえて使用しているのではないか?と考える。

ちなみに、「所有権」という言葉の解釈について、上記のような内容でTwitter社に報道用窓口から2度質問を送ってみたが全くスルーされてしまった。

他にも、ユーメイド社が今回Twitter側から指示されたとされる「ブロードキャスト」についても質問を送っているが、これについても回答は今のところ筆者の手元には届いていない。
送った内容は「ブロードキャストとは報道、放送などを意味するが、Twitter社ではその範疇に紙媒体も含んで考えているのか?」というもの。
大企業なので仕方ないという気もするが、報道窓口を通し、社名に住所、本名まで記載し送っている人間に対し、完全スルーというのは企業としてどうなんだろう?とはちょっとだけ感じた。

少し話はそれてしまったが、筆者の解釈抜きにしても、利用規約を読むだけでユーザーは権利をまるきり放棄しているわけではないことが分かる。

(2)文化庁が過去、Twitterには著作権がないと回答している!?

こうした話題が出る度に、日本国内での判断根拠としてあげられるケースがあった。Twitterの著作権について、日本の著作権制度をあつかう文化庁に問い合わせをして「そもそもツイッターは基本的に著作物ではない」と回答を得た人物がいるらしいのだ。
その一連についてはTogetterに「文化庁がツイッターは基本的に著作物ではないと回答した?!」というページが作成され紹介されていた。

確認したところ、このネットで出回る情報には“重要な話が抜けて拡散されている”ことが分かった。回答を得た人物はTwitterの著作権について「美術、学術、音楽、芸術には著作権が認められる場合がある」とちゃんと、適用されるケースも報告している。

というわけで、この件についても本当にそういう解釈か否か、今回の「かるた」ケースに絡め、1ヶ月置きに2度文化庁に問い合わせてみた。……結果、、、、、全くもっての無反応!TELでもかまわなかったのだが、一応資料として残しておきたかったので2度ともメールで問い合わせている。
せめて、「俳句などの短文の場合には著作権が認められるケースがある。今回のかるたはそれにあたらないか?」という質問だけでも答えて欲しかった気もするが……。

とまぁ今回の「かるた」事例での著作権についてはきちんとした回答は得られてはいないが、日本では140文字より少ない五・七・五の俳句は著作権情報センターのホームページでも紹介されているとおり、著作物としてしっかり認められている。今回の「かるた」のケースも性質をみれば非常にそれに近く、著作物として認められる可能性が高いように思われる。

なお、Twitterの投稿物でも著作権として明確に主張できる唯一のものがある。画像だ。140文字という文章の場合には他人との類似の可能性もあるため判断しにくいが、画像の場合は判断しやすい。そのため、Tiwtterでは画像の著作権侵害の申請を積極的に受け付けている。Twitterヘルプセンターにそのガイドラインおよび、著作権侵害の申立てフォームが用意されているので、もし自分の絵や写真などが他人に無断使用されている場合には一度相談してみるといいだろう。

(3)過去に同じ事例はあったのか?

海外にこうした事例があったのかどうか調べてみた。すると2009年に似たような本がアメリカで出版されていることが分かった。
タイトルは『Tweet Nothings』。こちらも投稿者に無断でツイートをまとめ出版された本だ。このケースでは出版までにこぎつけているが、Amazonのレビューには非難が殺到するなど、今回の『アホ男子かるた』同様、ユーザーから大いに反感を買い、失敗してしまっている。
無許可でのツイート書籍化は万国共通でユーザー感情を逆なでする行為だということが分かる。
なお、この件について裁判などが行われていないかを調べてみたが、見つけることができなかった。もしかすると、訴訟大国アメリカでさえ140文字の権利の扱いには慎重になっているのかもしれない。何か前例があればと思ったのだが、見つけきれなかった。もし何かご存じの方はご一報いただきたい。いつでも情報をお待ちしている。

(4)ちょっと面白い事例

本件と話はそれてしまうが、この騒動のちょっと前、Twitter上で誹謗中傷を受けていた日本人男性が、米Twitter社に対し、誹謗中傷した相手の情報開示を求めて行った仮処分申請が、東京地裁に認められるケースが起きている。

それまでは、Twitter利用規約に書かれた裁判管轄に従い、訴えを起こす場合には「米国カリフォルニア州サンフランシスコ郡の連邦裁判所または州裁判所においてのみ」と考えられていた。それなのに何故このケースでは日本国内で「開示命令」を得ることが出来たのか?

B.準拠法および裁判管轄

本規約およびそれに関連して行われる法的行為は、米国カリフォルニア州法の抵触法に関する規定またはご自身の居住している州もしくは国にかかわらず、米国カリフォルニア州の法に準拠するものとします。本サービスに関連する一切の請求、法的手続または訴訟は、米国カリフォルニア州サンフランシスコ郡の連邦裁判所または州裁判所においてのみ提起されるものとし、ユーザーはこれらの裁判所の管轄権に同意し、不便宜法廷地に関する一切の異議を放棄するものとします。

ユーザーが、米国の連邦政府、州政府または地方自治体の機関であり、その公的な地位に基づき本サービスを利用し、上記の準拠法の指定や合意管轄裁判所または法廷地に関する規定につき法的に同意できない場合、それらの規定はご自身に適用されないものとします。このような米国の連邦政府機関である場合、本規約およびこれに関する法的行為は、アメリカ合衆国の法令(抵触法の規定を除く)の適用を受けるものとし、適用すべき連邦法が存在しない場合には、連邦法において認められる範囲に限りカリフォルニア州法(準拠法の選択を除く)の適用を受けるものとします。

この件については、『弁護士ドットコム』というサイトで、原告側代理人を務めた清水陽平弁護士の話が掲載されていた。それによると「日本で事業展開する海外企業に対して、日本で行っている事業に関する訴訟を起こす場合なら、東京地方裁判所に管轄権がある、という民事訴訟法上のルールを利用しました。」と紹介されている。

また、このケースでは「開示命令」が出た後に、米Twitter社は相手方のIP情報を原告側に開示している。つまり日本の裁判所が出した命令にTwitter社は従っているのだ。
必ずしもTwitter規約に書かれる内容全てが日本でも通用するわけでなく、場合により事態は覆ることもあるという良い事例になっている。

■ブロードキャストのガイドラインに『アホ男子かるた』はきちんと準拠したのか?

『アホ男子かるた』出版にいたる判断材料としてユーメイド社は「関係各所に問い合せた結果、ブロードキャストでのツイート利用に関するガイドラインに準拠した形での利用は問題ないとの判断に至った」と説明しているが、果たして本当に準拠したのか?

そもそも「ブロードキャスト」という言葉の意味についてだが、一般には放送・番組といった意味で理解されている。
このガイドラインの『Twitterにおける「ブロードキャスト」とは』という章では同じく放送媒体を対象に説明されていた。

Twitterにおける「ブロードキャスト」とは
ブロードキャストには以下を含みますが、この限りではありません。メディアが提供する(全ての形態のテレビ、ラジオ、衛星放送、インターネットプロトコル、ビデオ、専用の無線ネットワーク、インターネット販売など)全てのツイートの展示、配布、放送、複製(再生)、公共パフォーマンス、その他一般に公開されるものです。これは既存のもの、現在開発中のものを問いません。当ガイドラインの条件に沿っているか不明確な場合は下記よりお問い合わせください。

ユーメイド社が本当にTwitterからここを指示されたかはよく分からないが、もしTwitterがこのページを案内したのであれば、Twitter側の対応にも多少の疑問は残る。
大量にくる問い合わせに対し、一つ一つに丁寧に対応するというのは困難かもしれないが、せめて出版におけるガイドラインページの1枚ぐらいは別途用意しておいてもいいのではないかと感じた。

そして肝心の中身を説明したい。このガイドラインでは利用に対する詳細な条件も紹介している。

コンテンツの使用
視聴者の方々に最高の経験をしていただくために、権限とライセンスに関するプロセスを簡素化したいと思っています。以下のガイドラインに従っていただければTwitterに連絡をする必要はありません。しかし、場合によってはユーザーの権利を守るために、許可が必要になるケースがあります。

以下の場合、すべてのケースにおいて、オリジナルのコンテンツ作成者の許可なしにTwitterのコンテンツを使用することはできません。

・広告
・製品、またはサービスの保証

製品にする場合には「オリジナルのコンテンツ作者の許可なしにTwitterのコンテンツを使用することはできません。」とばっちり書かれている。

他にも

すべきこと
・ツイートが番組内に表示されている間は、ツイートのすぐそばにTwitter bird www.twitter.com/about/logosを表示させる。
・各ツイートにユーザーの名前と、ユーザー名(@ユーザー名)を表示する。
・ツイートの全文を使用する。改変は技術的な問題部分のみとする(例:リンクを外す)
・Twitter birdのアイコンのサイズは内容に合わせた適切なサイズであること。一行の文字列よりも少し大きいくらいが適当です。

してはいけないこと
ユーザーの正体を削除、ユーザーを特定する情報を削除、改ざんしたり、不明瞭にしたりすること。ユーザーの安全性が懸念されるような場合を除き、ツイートを匿名のまま掲載すること。

ツイートの掲載は基本全文、改変は技術的な場合にのみ許される。ユーザー名は伏せたり、改ざんするのはNG。ただし例外は「ユーザーの安全性が懸念される場合」のみ。と、ハッキリかかれている。

今回のケースでは、採用されたかるたの文は「技術的な理由」とは考えにくい改変が施され、投稿したユーザー名も伏せられていた。ユーザー名については、もしかすると「安全性が懸念される」と判断したためなのかもしれないが、TwitterでHNにするぐらいの名前を書籍に印字することで、その「安全性が懸念される」とは考えにくい。

つまりユーメイド社が準拠したと主張するこのガイドラインには『アホ男子かるた』は何から何まで準拠していないことが分かる。

 
 
<元祖本『#アホ男子母死亡かるた』ができるまで>

■『#アホ男子母死亡かるた』出版は便乗商法?

この騒動が勃発して直ぐ筆者は、タグ発案者のイシゲスズコさんに取材を行っている。その中で「実は昨年初め頃から本の出版がこちらでも話があり、今回こういうことになり少し困惑している。かといって著作権を主張するとかではなく、こちら側の書籍化はまだ具体化してない部分も多かったので、もし仮に事前に相談があれば許可していただろう」といったことを語っていた。

今回元祖本が出版されるにあたり「便乗商法」など罵倒する人がいるようだが、筆者がこの場で証言しておこう「それは違う」と。元々あった話の上に、『アホ男子かるた』が無断で乗っかってきただけのことなのである。

■ユーメイド社が“困難”と判断した許可申請作業、実際行ってみての感想は?

今回書籍化にあたり、委員会が組まれている。参加者はタグ発案者のイシゲスズコさん、Togetterまとめ主の福嶋祐子さん、書籍に掲載許可を出した皆さん、そしてフリーエディターの熊本さんに、本を出版するアスペクト社など。

出版作業に関する投稿者への許可申請作業については、フリーエディターの熊本さんが全て担当されたとのことなので、話を伺ってみた。

まず尋ねたかったのが、「許可申請には一体どれぐらいのアカウントにコンタクトをとり、どれぐらいの期間がかかったのか?」ということ、ユーメイド社は釈明の中で「事前にツイッター投稿者の皆様へ個別にご連絡をさせていただくことも検討いたしましたが、ツイッターの特性上、個別にご連絡を差し上げることが非常に困難であり、現実的ではないとの判断により」と説明していた。
個別ユーザーに連絡をとることがそんなに大変なことなのか、聞いてみたかったのだ。

答えは「楽しかった」というもの。許可申請は一気におこなったわけではなく、ページレイアウトや内容などを調整しつつだったため、ゆっくり一ヶ月半かけておこなったそうだ。申請は200人に行い、退会者、無回答、辞退者は約2割、許可は約8割から得られたとのこと。中には、ユーメイド社との関連を聞く人もいたようだが、丁寧に説明するとすぐ理解してくれる人ばかりだったそうだ。
また、許可申請するなかで申請者とその後交流することも多く、最初に紹介したように全体通して「楽しかった」と熊本さんは語ってくれた。

筆者も記事を書く都合上、Twitterの投稿者によく記事化申請をだすことがあるが、熊本さんが言うとおり約8割の人は快く許可を出してくれる。また、筆者も同じように許可してくれた方とその後Twitterを通じ交流を楽しむこともあり、時には記事PRもしてもらえるなど良いことずくめ。
そのため、この申請作業が困難であるとかそういう認識は筆者にもない。むしろ楽しい作業だと感じている。

結論、ユーザーへの許可申請は決して「困難なことではない」と断言できる。

■この騒動で得た物、失った物

今回の騒動は多くの人がイシゲさん側を支持した。しかし、対し非難する声も多く、その様子をずっと見守ってきた筆者にも、気苦労を重ねている姿は容易に想像ができた。
その時の心境についてイシゲさんに質問したところ「突然の嵐に巻き込まれたような、そんな時間だった、という感じです。」と語ってくれた。

書籍化は今年年始から始めていたようだが、騒動はそんな最中に起こった寝耳に水の話。多くの応援はもちろんあったものの、非難の声には「なぜ自分がこんな目に?と正直逃げ出したくなったこともありました。」とその時の苦しい思いも語っている。

しかし、失った物あれば得た物もあり、騒動の中でTwitter規約や、著作権など色々な人が調べてくれたり意見をくれたりしたことは、『#アホ男子母死亡かるた』書籍化の上で参考になることも多く「勉強させてもらう機会になった。」とも語っている。

騒動について、応援する人もあれば、非難する人もいる。意見は賛否両論あってしかりだが、筆者がずっと見守っていて感じたのは、よく調べもせず他人を簡単に罵倒する人の多かったこと。

Twitterで流れてきた一部の情報だけを鵜呑みにして、それ以外を自分で調べようともせず、よくこうも人を非難できるものだなと。また人によってはちょっと調べれば直ぐにわかりそうな事でも1から10まで質問をし、回答を得てもお礼の言葉もない。さらにはその人の考えが間違いだと分かっても「ごめんなさい」の一言もなく去ってしまう……それってどうなのよ?と正直見ていて感じた。
これはイシゲさんの件だけに限ったことではないが、ネットに溢れる情報は真実もあるが嘘や間違いも多い。そのため、発信する側、受信する側ともに慎重にその内容を吟味する必要があるのだ。

人に意見を投げかけるときには「自分で調べて」、そして「自分の頭で考えて」から投げかけてみる。そういうネットマナーはそろそろ浸透する必要があるんじゃないだろうか。この騒動ではそんな事も感じていた。

■最後に

今回のインタビューの中で最後にイシゲさんと熊本さんに5月26日発売の『#アホ男子母死亡かるた』について紹介してもらった。くどくど筆者が余計な紹介を入れるより、ご本人達そのままの言葉でお伝えしたいと思う。ちなみに筆者は既に予約済みだ。ぬかりはない。一連の取材は終えてしまうが、今後は一読者としてこの本の発売を楽しみに待ちたいと思う。

「男子あるある」的な本はこれまでもあったと思いますが、そこに母の感情がこもっているのが、この本の最大の特徴です。たとえば、表紙にも登場している「脱いだら脱ぎっぱなし。服も自分も」からも、母の脱力ぶりや、ため息がありありと感じられます。アホ男子母のみなさんなら、きっとそこに共感していただけると思います。そして、男子のアホな生態を改めて確認したにもかかわらず、本を読み終わる頃にはなぜか、そばにいるアホ息子が愛おしくて、ふと抱きしめたくなる。そんなふうに感じていただければいいな、と思っています。感じ方は少し違うかもしれませんが、アホ男子の母以外の人にもおおいに楽しんでいただける内容になっていると思いますので、とにかくたくさんの人に読んでいただきたいです!

    ▼書籍概要
    書籍名:#アホ男子母死亡かるた
    価格:1,000円(税別)
    出版社名:(株)アスペクト
    発売日:2014・5・26
    著者名:「#アホ男子母死亡かるた」書籍化プロジェクト@ahodanshi88 (絵・マンガ/まきりえこ)

 
 
【一連の騒動の参考資料及び時系列について】
ユーメイド社公式サイト、『アホ男子かるた』関連の公式ブログの殆どが、記事執筆時点には削除されていたため、有志の方が記録されていたNeverまとめ「【パクリ?】#アホ男子かるた「ツイート無断使用」書籍発売騒動まとめ【発売中止で終結】」の時系列や記録情報に、筆者の記憶及び過去記事を照らし合わせ執筆しています。
そのため、まとめに掲載されていても、筆者の方で確認しにくい情報は本稿では紹介しておりません。その点ご理解ください。

(文:宮崎美和子)