韓国珍島(チンド)沖で発生した旅客船「セウォル号」の沈没事故の責任を取るとしてチョン・ホンウォン首相が辞意を表明したことについて、中国の大手ポータルサイト・騰訊でニュースの編集にかかわる丁陽氏はこのほど、「恥の文化を体現した行為」と論じ、「恥の文化こそ、韓国を成長させた原動力だ」と論じた。

 丁陽氏は、韓国国内では首相が辞意を表明したことは驚くべきこととは受け取られておらず、事故に対する悲しみの気持ちを除けば、韓国国内に蔓延するのは「沈没事故は国家、民族としての失敗を具現化した悲劇」という考え方であると主張した。

 さらに、今回の沈没事故における救援活動の対応の悪さを見た中国人ネットユーザーからは「韓国は結局、二流国家であり、アジアで本当の一流国家は日本だけ」などといった声があがったことを紹介。さらに、中国メディアからも「二流国家における海難事故」との指摘があったことを伝えた。

 一方、丁陽氏は韓国では中国国内の声よりもさらに厳しい批判があることを伝え、韓国メディアが政府批判を展開しつつ、「韓国は三流国家だ」、「われわれは三流民族」、「20数年前に比べて進歩したと考えていたことは、ただの錯覚に過ぎなかった」などと報じたことを紹介した。

 さらに丁陽氏は、もしも中国でセウォル号と同様の事故が発生した場合、「中国人は政府の責任を問うばかりで、国家や民族性についての反省はしないだろう」と主張し、韓国で見られる「自己批判や反省の声」を評価する姿勢を示した。

 続けて、「韓国人は自国を三流国家と考え、民族性についても反省しているが、こうした自虐観が恥の文化を形成した」と主張。チョン・ホンウォン首相の辞意表明や、セウォル号に乗船していた高校生を引率していた教頭が事故後に自殺したことは「恥の文化を体現した行為」だと論じた。

 ただ、韓国人のすべてから恥の文化を感じ取ることができるわけではないと付け足し、乗客を置き去りにして避難した船長などからは「恥という意識すらまったく感じ取れない」と批判した。

 さらに丁陽氏は、韓国の経済に関するデータなどを引用し、「韓国は三流国家などではなく、成功した国家と言える」と主張。さらに恥の文化があるからこそ自らが直面した問題を認識でき、国民の共通認識のもとで改善に取り組めるとし、「三流国家と自認する恥の文化こそ、韓国を成長させる原動力だ」と主張。開発途上国から先進国へと成長した韓国は、中国を含めすべての国にとって参考になるはずだと主張した。(編集担当:村山健二)