自然体になれる「大の字」のススメ

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 大の字に寝る。子どもの頃、畳の上で大の字になって寝て、ウトウトしたという経験はないだろうか。思いっきり手足を伸ばして横たわると気持ちがいいものだ。

 人はだれでも大の字のような楽な姿勢でいるとき、安らぎを味わうだろう。それは、いちばん楽な姿勢を見出せば幸せになれるということ。本当の幸福のカタチは「大の字」にある。そんなことを説く『大の字の話 いちばん楽な姿勢』(加島祥造/著、飛鳥新社/刊)は、自然体でいるための生き方を紹介する一冊だ。

 大正12年、東京神田の絹織物問屋の四男として生まれた著者の加島氏は、子ども時代の10年間ほど、避暑のために夏のひと月は鎌倉・材木座の光明寺のひと間を借りて過ごしたという。
 10歳の夏の昼過ぎのこと。誰もいない200畳はある広い本堂に入った。誰ひとりいない本堂の大広間に、自分ひとりでいるという開放感のせいか、大の字に寝たという。
 蝉時雨を聞きながらいつしか眠り込んでしまい、目を覚ますと、畳の大の字になっている自分に気づいた。起き上がりながら「ああ、いい気持だった」と呟いた。そして本堂を出て行き、家族のいる部屋に帰ると、妹や弟を連れて材木座の浜へ水遊びに行った。

 それだけのことであり、ほかの日々と変わらないが、この日の大の字の昼寝だけは「気持ち良かった」瞬間として記憶に残ったそうだ。
理由も今は明らかで、あの気持ちよさが無意識の中に入って残ったからである。全身のが「いい気持ち」と感じ、そこに何かしら深く安らぎがあったからだと加島氏は語る。

 本書は幼少時のこと、オーストラリアやバリ島でのことなど、加島氏に起きた9つのエピソードが語られているが、起きた時期も、場所もまったく別々。共通しているのは「大の字」になったことだ。
本書を読んで、大の字のような楽な姿勢でなれる場所を探してみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)