昨年末につけた1万6000円台を未だ回復できていない日経平均株価。今年に入ってからズルズルと下げ続けるありさまに、東証1部の売買代金も活況の目安とされる2兆円を連日のように割り込み、投資家の関心もすっかり薄れたかのようである。しかし、信州大学経済学部の真壁昭夫教授はこう指摘する。

「年初からの下落は、日銀の追加金融緩和実施の見込みが遠のいたことで、短期売買主体の海外ヘッジファンドによる失望売りが相次いだことが大きな要因です。

 しかし、その一方で海外の年金基金など中長期で投資する海外機関投資家は常に買い場を探っている。私の知るファンドマネジャーたちも『日本人はなぜ参戦しないのか』と首を傾げつつ割安と見た日本株に積極的な買いを入れています」

 日経平均は伸び悩んでいるが、長期保有目的の外国ファンドにとってやはり日本株は有望な投資対象であるというのだ。

 そもそもヘッジファンドなども含めた海外投資家は、東証1部の売買代金の約7割を占める相場の主役である。そうである以上、彼らが手を伸ばす銘柄は注目しておいて損はない。

 では、いったいどんな銘柄を買っているというのか。それを探る格好の公開情報がある。財務局に提出される「大量保有報告書」だ。これは上場企業の発行済み株式数の5%超を取得した場合に提出する報告書で、一般に「5%ルール」と呼ばれる。

 提出後も保有比率に1%以上の増減があれば変更報告書を提出する義務があるため、大量に売り買いした場合も報告される。金融庁の電子開示システム「EDINET」で閲覧可能となっており、欧米のプロたちの動向が見られる貴重な情報源だ。

 本誌は今年1月以降に中長期投資を主体とする主な海外の運用業者が提出した大量保有報告書を調査した。

 株式市場ではヘッジファンドを中心に海外勢の売り浴びせばかりが話題を集めてきたが、それらを除いた長期投資家の動向を見ると、様相は異なってくる。特に今年に入ってから新規保有や買い増しを報告する提出件数が伸びており、4月は1月までのペースの3倍超に急増している。

「消費増税の影響から4〜6月期は株価下落という見方で一致しているが、10%への消費税引き上げの判断材料となる7〜9月期は何としても景気を上向かせる必要があると財務省は考えている。そうなれば株価上昇は必至であり、上がる前に仕込もうとする買いが入っているのです。この動きは株価が底値圏へと向かう6月にかけて本格化するでしょう」(前出・真壁教授)

 国内外の株式市場に詳しい戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)も、次のような見方をする。

「米国が緩和縮小に舵を切ったのとは対照的に、日本が追加金融緩和に踏み切るという期待は依然として外国人投資家の間で根強い。ましてや今年の日本企業の増益率は米国企業よりも高い見通しであるため、割安な日本株の魅力は相対的に高まっています」

※週刊ポスト2014年5月23日号