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予期せぬ盗難によって私のカメラ・ライフは白紙に戻ってしまったが、最適なカメラ選びについて改めて考えるきっかけにもなった。

2ヶ月ほど前のある晩、駐車してあった私の車の窓が何者かよって壊され、後部座席からガジェット好きの私が集めた様々な機材がいっぱいに詰まったカバンが盗まれてしまった。

現場に戻ってきた私は、路上に散らばるガラスの破片に続いて助手席側の壊れた窓を目の当たりにした。パニックに陥った私は思わず、最寄のバー(偶然4分の1ブロックほど離れた場所にあった)に真っ直ぐ逃げ込んでしまった。

ビールを2本半ほど開けて少し落ち着くと、バッグの中身を大体思い出すことができた。職場から離れたワシントンでの仕事のために荷造りしたばかりだったので、記憶もまだ新しかったのだ。バッグの中には Macbook や iPad など、総額で6000ドルほどの機材が入っていた。所詮は単なるモノだとあきらめるしかなかったが、自分のカメラも一緒に盗まれてしまったのが一番ショックだった。

私が信頼を寄せるデジタル一眼レフのキャノン60Dと使いなれたレンズ達。これらは自分で買ったものだし相当な思い入れもあるが、もう帰ってはこない。ゼロからはじめるしかない。

State Farmの保険に加入していたのは幸いだったが(レンタル保険は十分にその価値ありだ)、良かった点はそれだけではない。盗難から2ヶ月以上経った今では、カメラを失ったことが結果的に自分のカメラと撮影に関する考え方を見直す良いきっかけになったと思えるようになった。

iPhoneで撮影したオアハカの風景

持ち歩くためのカメラ

自分の機材が盗まれた後に、私は休暇でメキシコのオアハカに向かった。オアハカの美しい海岸から同名のカラフルな首都の町までバックパックで移動する。サーファー達を翻弄する大きな波や、ビーチサイドに茂るココナッツの木々を眺めながら進み、古代サポテク文明の廃墟を巡ったところで、私は自分の iPhone ではこれらの風景を撮影することに無理があることに気付いた。「本物の」カメラを失ってしまったことが悔やまれる。光の捉え方も、操作や画質もやはり全然違うのだ。

これほど素晴らしい旅行をするにあたってカメラを持っていないのはやはり寂しい。出発の前、私はカメラはなくても大丈夫だと思っていた。最近は趣味で60Dを持ち出す機会が減っていたからだ。しかし、私に必要なのは本当にデジタル一眼レフなのだろうか?

60Dは、一番軽量な50mmレンズを装着したとしても恐らくこの旅には重すぎるし、そんなカメラをぶら下げていたら私と連れの女友達は見るからに観光客という出で立ちになってしまうだろう。今回の旅行は至って安全だったが、大きな目立つカメラをぶら下げていたら状況は悪い方向に変わっていたに違いない。

盗まれた機材は惜しい。しかしこのオアハカ旅行で、私は自分の私生活(仕事としてテクノロジー系のイベントに取材に行くときなどは別だ)において、デジタル一眼レフがいかに不釣合いかを改めて思い知らされた。旅行やストリート・スナップなどでは、軽量でそれほど目立たないカメラが必要なのだ。

メキシコに滞在した2週間で私は数百もの写真を iPhone で撮影したのだが、たぶんその写真を後で見返すことはないだろう。私は次なるシャッターチャンスに向けて、より自分のニーズに合った新しいカメラを探すことにした。

離ればなれになってしまう前の、私と相棒のカメラ(左)

2014年のデジタルカメラは全くの別物

長い間、写真を始めるにはまず「派閥」を選ぶ必要があった。キャノン対ニコン、カラー対白黒、最近ではフィルム対デジタル。大半のITガジェットとは違って、カメラの場合は購入前に長期的な戦略を立てる必要がある。なぜならほとんどのレンズや付属品などが、特定のメーカー専用で互換性がないためだ。

全てが白紙に戻ってしまった今、私は改めて最近のデジタルカメラを一通り調査してみた。すると私が最後にカメラを買った2011年と比べて、状況は完全に変わってしまっていた。当時、カジュアルなコンパクト・デジタルカメラは問題外で(スマートフォンのほうがよっぽどマシだった)、一方のハイエンドのデジタル一眼レフは高額すぎた。3年前にはその中間に位置する製品は選択肢が少なかったが、今ではお手頃で高性能なモデルが目白押しの状況だ。

まず、今や他社製レンズとの互換性を持つミラーレス一眼が山ほどあり、本格的なコントロールと画質を持ちながらどれもコンパクトだ。私は既にソニーの NEX-F3(このカテゴリーに入る)を使っていて、カジュアルなイベントでの撮影に利用している。写真のクオリティーは悪くはないが、インターフェースは初心者用だし、装着するレンズによっては一眼レフを持ち歩くのと変わらなくなってしまうという携帯性の問題がある。つまり、私が今求めているカメラではないのだ。

直観的に使い慣れたキャノン60Dや後継の70Dを買い直そうと思ったこともある。その次には、プロ風のフルフレームカメラに挑戦してみようかと考え、キャノン6Dのような「入門レベル」のモデルも検討した。だがここで私は、自分がこれまでと本質的に変わらない「安全な」選択に逃げてしまっていることに気がついた。つい最近、それではうまくいかないと気付いたばかりなのに、だ。

小型に限る

私の至った結論は、全く新しいと同時に古臭くもあるものだった。一眼レフを買い直すこともなく、プロ風のカメラにアップグレードすることもしない。代わりに私は、レンズが交換できない非常にコンパクトなソニーの RX100(700ドル)を買うことにした。この決断には不安もあったが、RX100 と後継の RX100II はプロも認めている上、持ち歩きにはとても便利だ。コンパクトカメラのために700ドルを払うのは馬鹿らしいかもしれないが、後からレンズが欲しくなる心配はないため、結果的には意外と節約になるかもしれない。

この「プロ・コンパクト」ジャンルのカメラは一般的に、写真家の好むマニュアル・フォーカスやRAW撮影などの上級者向けの機能を、コンパクト・サイズのボディーに凝縮して搭載している。その大きさはまるでスパイ・カメラのように小さく、私のポケットにもすっぽり収まってしまう。カーゴパンツなどの大きなポケットではなく、普通のジーンズのポケットに入るサイズだ。

カメラが盗まれる前の自分のカメラの使い方を振り返ってみると、私は自分が選んだ機種のせいで写真を撮る機会を逃してしまっていたのかもしれないと思える。今私は自分の新たなカメラ・ライフの始まりに興奮している。今後の経過についてはまたご報告したい。

画像提供
トップ画像:Taylor Hatmaker
私の写真:Evan Friedenberg

Taylor Hatmaker
[原文]