台湾では日本、あるいは日本文化を好む人が多いとされる。日本での流行は、いち早く取り入れる。そんな台湾で、日本でも未聞の“萌え文化の名所”が登場した。女性の歯科助手などが「メイド服」を着用。訪れる患者には「歓迎光臨!(ホアンイン・グアンリン=いらっしゃいませ!」とごあいさつ。続けてひざまずいて「お座りください。スリッパにお取替えしましょう」と、日本のメイド喫茶も顔負けのサービスだ。台湾のテレビ局、TVBSなどが6日から7日にかけて報じた。

 歯科に限らず、医療関係者は白または淡い色の服で患者に接するのが常識。台湾でも同じだ。しかしこの「メイド歯科医院」の女性はメイド服とストッキング、さらにエプロンを着用。診察室でもこの恰好で治療を補助する。ミニスカート姿で前のめりになり、患者の口中をのぞきこむような姿勢でケアする光景も。

 医師は通常の白衣。助手とは、医療用手袋をはめマスクをしている点だけが共通だ。

 この「メイド歯科医院」ができたのは台湾北西部にある新竹県竹北市。現地では「歯科医院」が過密状態で競争が厳しい。そこで「差別化」を図るための工夫という。院長の儲伯勤さんによると、医療面でも治療回数を少なくし、麻酔の回数も減らすと同時に傷みも軽減できるなどの手法を取り入れた。患者からも「ちっとも痛くなかった」などとする評価の声が上がっている。

 「メイド服」を採用したのも、「歯のトラブルに悩む患者のあせりを軽減したかった。従来の歯科診療所の冷たい印象を覆したかったから」という。

 患者にリラックスしてほしいということで、内装にも奮発した。欧州のホテル風として、天井にはシャンデリア。待合室の椅子やテーブルも高級だ。受け付けを済ませた患者が椅子に座ると、“メイド”がすかさず「コーヒーでございましたね。しばらくお待ちください」などと声をかける。満足しているのは“”成人男性”だけでなく、女性患者からも「親切にしてもらって、よかった」の声があり、「歯医者を怖がる息子を連れてきました。喜んでいますよ」と話すお母さんもいるなど、評判は上々だ。

 診療所の開業には医療機器をそろえる必要もあり、大量の資金が必要だ。同医院では内装や「服装」に大金を投じたこともあり、開業までに5000万台湾ドル(約1億6900万円)がかかったという。

 TVBSが配信したネットニュース。「診療所が業績を度外視! 看護師がメイド服 患者は頭くらくら」の見出しが見える。(編集担当:如月隼人)