【うちの本棚】212回 森の子トール/竹宮恵子

写真拡大

 「うちの本棚」、今回は竹宮恵子の作品集第2巻『森の子トール』をご紹介します。
まだぎこちなさが残る印象もありますが、その後描かれる多くのキャラクターの原点とも言うべき少年が登場している点は注目していいでしょう。

【関連:211回 アストロツイン/竹宮恵子】

森の子トール

 作品集第2巻には、中編『森の子トール』と辻 真先原作の『スーパーお嬢さん』の2作品が収録されていた。

 『森の子トール』。真面目で勉強好き、父親のお気に入りの少年ルイは、本当は森の中で自由に駆け回るのが大好きで、トールという別人として父親の目を盗んで仲間たちと遊んでいた。そこにミルという少女が現れて…、というストーリー。設定や展開的にはいたって少女漫画的な作品。強いて言えばルイとトールという正反対の性格を持ったひとりの少年という存在が竹宮らしいところか。これはのちのち描かれ続ける陰のある少年たちに共通するキャラクターの原点なのかもしれない。

 『スーパーお嬢さん』はガリアという星から地球に星流しにされた不良少女、胡桃ナナが活躍するSFコメディ。辻 真先の原作付き、さらには「ファニー」という多少読者対象年齢が高めの雑誌に発表されたということもあり、ナナのビジュアルは竹宮作品としては異色なセクシー系美女。石森章太郎の『ワイルドキャット』を彷彿させる。

 この作品集が刊行されたころ、竹宮作品の単行本はそこそこの冊数が出ていたわけだが、それでも未単行本化作品は多く、作品集で初めて単行本に収録されたものが多かった。本書に収録の2作品もこれが初収録であり、初期の竹宮中・長編作品に触れるいい機会だった。

初出:森の子トール/小学館「週刊少女コミック」昭和45年3〜7号、スーパーお嬢さん/虫プロ商事「ファニー」昭和44年5〜10月号

書 名/森の子トール
著者名/竹宮恵子
出版元/小学館
判 型/B6判
定 価/450円
シリーズ名/プチコミックス・竹宮恵子作品集2
初版発行日/昭和54年3月15日
収録作品/森の子トール、スーパーお嬢さん(原作・辻 真先)

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/