80代になっても業界を牽引するトップランナーとして走り続ける経営者がいる。まだまだ現役を退くつもりはないという、スーパーマーケットチェーンを運営するライフコーポレーション代表取締役会長兼CEO(88)が生涯現役で働く「極意」を語る。

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 4月で88歳になりましたが、今も会社の代表取締役会長兼CEO。毎月の取締役会、それに経営戦略会議には議長として出席しています。基本的に365日休みなし。日曜も祭日も働きます。

 この年になって現役でいるのは、経営で何か問題があったとき、若く前途ある社長に責任を取らせるわけにはいかないから。自分は「切腹要員」だと思っています。

 今は身体の調子がすこぶるいい。82歳のときに心臓の手術をしてから風邪ひとつ引かなくなった。天皇陛下のオペを成功させた天野篤先生にやっていただいた手術のおかげで、若返った気さえしています。大病をしても悲観する必要はまったくない。だから、特に健康法というものはない。76歳でドクターストップがかかるまで剣道で竹刀を振っていたから体力には自信があったけれども、今となっては自然体でいるのが一番いいんじゃないかと思っています。

 毎日、朝は4時半頃に起きて洗面し、5時に新聞が配達されてきたら朝日と日経の2紙を丹念に1時間かけて読む。続いて欠かさないのがNHKのラジオ体操。それが終わってから朝食を摂ります。気を付けているのはイチゴやバナナなどの果物を取り入れることくらいで、特別なことはしていませんよ。出勤後は執務や来客の対応、夜は同業者との勉強会や、政治家や学者などとの会合をし、帰りは夜9時頃。この歳なので10時には寝るようにしています。

 元気だから仕事するのではなく、仕事を続けるからこそ、元気でいられるのかな、と思いますね。仕事をすれば頭や身体を使うし、気も遣う。人に会えば刺激も受ける。もしかしたら、仕事を辞めたらすぐダメになるかもしれない。

 絵描きさんや陶芸家なんかは長生きでしょう。彼らは頭や手だけでなく、精神も使っている。「心の戦い」をしているかどうかで決まるのかもしれません。

 ひとまず90歳までは現状のまま働き続け、そのときの健康状態で判断すると決めています。でも、できる限りは続けたい。そう考えるのは、親交のあった先輩たちにそういう方が多かったから。ダイエー創業者の中内?さんは経営から手を引いても、流通科学大学の学園長として生涯現役を貫いた。旭化成会長の宮崎輝さんも、82歳で在職中に亡くなった。

 生涯現役のコツですか。それは肉体的・精神的・知的な健康のほか、経済的な健康も重要です。やはり「貧すれば鈍する」。

 そして、「己の器量を知ること」でしょう。自分がどの程度の人間なのかを理解しなければ、オーバーワークになり、身を滅ぼすことになる。

 私は一生仕事を持ったままでいたいと思っているけれども、常に「人間終わりが大事」とも胆に銘じています。いくら人生の途中で隆盛を極めても、最期にしくじったら台無しになりますからね。

※週刊ポスト2014年5月9・16日号