県民推薦本が並ぶ甲府市の書店 地元の英知が街の本屋に結集

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ネット書店の普及により、いわゆる「街の本屋さん」が苦境を強いられるなか、店長の工夫とアイデアにより地元住民の支持を得ている本屋さんは全国に存在します。地元の大学生やTVディレクター、和紙デザイナーといった県民による推薦本がそろうのが、山梨県甲府市の「春光堂書店」。古くからジュエリー産業が盛んで、駅前からはキラリと輝く富士の姿も望むことができる甲府駅から歩くこと10分の中央商店街の一角に、春光堂書店はありました。

「歩いて3分のところにできた大型書店の取り扱いは80万冊。ウチは置けても8000冊。限られた空間の中で、地域のおもしろさをどうやったら提案できるか。それを常に考えています」

熱く語る店長の宮川大輔さんは、根っからの本好き、地元好き。店一番の平台には、ご近所で150年続く味噌屋の主人が推薦する『いま、地方で生きるということ』や『麹のレシピ』が並び、「僕と語り合いましょう」というコメントが添えられています。時には味噌屋の麹も一緒に販売されるそうで、インプットとアウトプットの両方が楽しめるのだとか。

実はこの展開、「地元の輝いている人々と力を合わせたくて」と宮川さんが考えた『やまなし知会の輪会』という企画なのです。現在は53名が参加(数人を常時コーナー化)。独自のテーマをもとに3冊ずつ選書しているので、旅の醍醐味である現地の人との触れあいが、本を通して味わえます。

なにげない棚も見逃すことはできません。店内には、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で演説した内容や養老孟司の名言を一文POPにして、宮川さんがそれらの言葉から連想する本を集めた“思想”棚もあります。「(地元)春日町から知識の光を発信したい」という願いが込められた店名通り、8000冊の中に県民の英知が宝石のようにちりばめられているのです。

※春光堂書店 山梨県甲府市中央1−4−4

◆ケトル VOL.18(2014年4月15日発売)