HIVの検査ってどんなの?感染したらどうすればいいの?「毎日同じ時間に薬を飲めばエイズ発症の可能性は低い」

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性行為感染症の一つであるエイズ(AIDS)。「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」の感染者が発症する病気です。日本でも感染者が年々増加していますが、皆さんはHIVに感染しているかどうかの検査はどんなものか、また感染してしまった場合はどうすればいいのか知っていますか?

東京・新橋にある性病科クリニック『あおぞらクリニック』の内田千秋院長に聞いてみました。

■もし感染しても怖い病気ではない?

――HIVに感染しているかどうか、どうやって検査をするのでしょうか?

内田院長 HIVの検査ですが、まず「スクリーニング検査」というものを行って感染している可能性があるかどうかを調べます。ただ、注意しなければならないのは、検査を行う場合は「感染した可能性のある日からある程度の日数」が必要なことです。

「感染したかもしれないから」といってすぐに検査しても、ウイルスは増えていませんし、抗体も出てきていないので調べられません。

――だいたいどれくらいの日数が必要なのでしょうか?

内田院長 ガイドラインでは「3カ月以上」とされています。しかし、もっと早く知りたいという人も多いので、2週間経過していれば調べられる検査もあります。他にも、2カ月経過していれば検査できるキットなど複数の種類があります。

――検査というのは血液検査になるのでしょうか?

内田院長 そうですね。血液検査でウイルスの抗体や抗原を調べます。

――検査をしてもらうには、どこに行けばいいのでしょうか?

内田院長 クリニックなど医療機関以外では、保健所で検査を受けることができます。

――こうした検査を受けて、もし「陽性」が出た場合はどうすればいいのでしょうか?

内田院長 スクリーニング検査で陽性が出たなら、そこから拠点病院などでさらに詳しい検査をすることになります。同じように血液検査をするのですが、採取から1週間ほどで結果が出ます。確認検査でも、ほとんどは陽性と結果が出てHIVに感染していると認められることになりますが、1,000人に1人ほどの割合で、陰性と出る場合もあります。

――確認検査で陽性と診断され、HIVの感染が認められた場合はどうなりますか?

内田院長 重要なのは「エイズが発症するかどうか」ですね。「HIVに感染=エイズ」ではありません。エイズを発症させなければいいのです。

――発症させない手段というのがあるのですね。

内田院長 昔と違って薬も進歩していますので、毎日同じ時間にちゃんと薬を飲めば、まず発症しません。

――今はもう薬を飲むだけで発症させないことが可能なのですか。

内田院長 一生飲み続けないといけませんが、人によっては「生活習慣病」の一つと考えている人もいます。

――HIVをなくすということはできないのでしょうか?

内田院長 現代の医学ではまだそれは可能ではありませんが、将来的にどうなるか、というところですね。

――当然、薬を飲まないでいると発症してしまうわけですよね?

内田院長 発症するまでの期間は違いますが、ずっとそのままだと高い確率で発症します。HIVに感染していても自覚症状などがないので、思い当たることがなくても検査を受けておくといいと思います。

かつては感染すると数年でエイズになる、といわれていたHIV。もし感染しても、現代の医学では発症を抑えることが可能とのことでした。検査を受ける人の中には「安心するために」検査を受ける人もいるそうです。クリニックや保健所などで簡単に検査できるので、今まで受けたことがないという人は、一度検査をしてみるべきかもしれませんね。

『あおぞらクリニック』HP
http://www.aozoracl.com

(貫井康徳@dcp)