「等身大」なスターが人気を呼ぶ現象はどこの国でもあるが、米国でそのトレンドがさらに進化しているようだ。SNSの広まりなどで、共感できる発言をするスターの人気が以前にも増して高まっている。そこで、今回は昨年から今年にかけ人気急上昇中の3人の「リアルガール」たちを紹介する。

「完璧じゃなくていいんだよ」フォトショ前写真を自らツイートする歌手ロード

第一に紹介するのは、若干17歳にしてデビューシングル『ロイヤルズ』で今年度のグラミー賞を受賞した歌手のロード(Lorde)。90年代風のグランジテイストと、ゴシックな色使いをミックスした独自のファッションセンスも話題だが、17歳とは到底思えない、芯の強さが垣間見える発言の数々も支持を集める秘訣だ。

今年4月には、ロード本人がネット上で見つけたというフォトショップ後のライブ画像の隣に、頬のニキビ跡があらわなフォトショップ前の画像を貼り付け、「完璧じゃなくていいんだよ」とツイート。またたくまに7万リツイートを記録し、多数のメディアで取り上げられた。

世界の「美」の基準を変えるかも? アカデミー賞女優ルピタ・ニョンゴ

第二に紹介するのは、スティーヴ・マックイーン監督の映画『それでも夜は明ける』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したケニアの黒人女優、ルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong’o)。化粧品大手ランコムの広告塔に大抜擢された上に、4月23日に発表された今年度の米ピープル誌「世界で最も美しい人」第一位に選ばれ、大きな関心が集まっている。

彼女のランコムの広告モデル起用や、ピープル誌「最も美しい人」1位選出がこんなにも話題を呼ぶのは、彼女の肌の色のため。長い間人種差別に対し戦ってきた米国でも「美」の基準はいまだ白人中心のものとなっており、黒人系女性やアジア系女性を始めとする、他の人種の女性たちは、マスメディアで「美」のロールモデルを見つけるのが難しいとされている。そんな中、黒人の中でも「ダーク・スキン」と言われる彼女の活躍が世界の美の基準を変えるのでは、と注目されているのだ。

彼女が今年2月に行った、肌色と美についてのスピーチのビデオは現在再生回数250万回を超え、コメント欄には様々な人種の女性からの共感の声が寄せられている。

米国版「こじらせ女子」? マルチな才能を持つぽっちゃり系女優レナ・ダナム

最後に紹介するのは、人気ドラマ『ガールズ』の脚本・監督・主演を手がけるぽっちゃり系才女のレナ・ダナム(Lena Dunham)。ゴールデングローブ賞をW受賞し、現在人気がうなぎ登りのクリエイター兼女優だ。冴えない男にセフレにされていたり、「彼氏がいない自分」が嫌で、惰性で関係を続けていたり、仕事がうまくいっていなかったり――ドラマ『ガールズ』に登場する女子たちの人生は、ちょっとカッコ悪くて、痛々しいまでにリアル。しかし、フツーな女子なら思わず共感してしまうポイント満載、と話題に。

上記のドラマの作風の他にも、ツイッターやインタビューでぽろりとこぼれおちる名言(迷言?)もダナムが支持を集める理由。以前、スターになったことについて聞かれたところ、ダナムは

“今でも、パーティーで誰かに恥ずかしいことを言って、弁解するためにその次の日にメールを送って、さらにはメールが届いているかどうか心配してメッセージまで送る、というようなことがあるのね。成功していようがしていまいが、人は結局、「自分」という荷物からは逃げられないのよ”

と答えている。色々とやたら気にしてしまう女子にとっては、共感必至のコメントではないだろうか。

海外で話題の「リアルガール」、いかがだっただろうか? 上記に挙げた3人に共通することは、どんな女性であっても共感できる一面を持っており、いわゆる「普通」な女性たちがポジティブな気持ちになれる発言をしていること。3人のこれからの活躍にも期待だ。

(文=ケイヒル エミ)

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