1.5kgの塊のこんにゃく、3kgの袋詰めマカロニ、一升瓶のトンカツソース……これらは、いずれも飲食店などが購入する「業務用食材」だ。普段行く街の飲食店ではどのように食材を仕入れ、どう客に出しているのか。ジャーナリストの鵜飼哲郎氏がリポートする。

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 業務スーパーの店頭に並ぶ商品は飲食店の大量仕入れを前提としているため、「大きく」かつ「安い」。また、「そのままの姿でお店で見たことがある!」と感じる商品も見つかって楽しめる。

 スナックや居酒屋の突き出しでよく見るマカロニサラダやスパゲティサラダ、たけのこ土佐煮などが1kg詰めの袋で並んでいる。チューブ状の明太子(500g、798円)はラーメン店などのサイドメニューにある明太子ご飯の上に乗っているものそのままだ。業務スーパーを運営する神戸物産は取材にこう答えた。

「人気商品は冷凍ブラジル産鶏もも正肉(2kg)や徳用ウインナー(1kg)などです。大きいサイズのほうが製造コストは安く、店頭に並べるための作業量も減るので、値段を下げられます。また、賞味期限ができるだけ長いものを置くようにしており、基本的に生鮮品ではなく冷凍が多い。それによってロスが減り、より安くご提供できます」(商品開発部門広報販促担当・花房篤史氏)

 商品はメーカーが業務用に開発したものと自社開発のものだけで、一般客を対象に開発したものはない。にもかかわらず同社店舗の業務関係の利用者は2割程度で、一般客が8割を占めるという。

 大きなサイズの冷凍カット野菜を使う分だけ冷凍庫から取り出すといった業務店の方法が、節約志向を持った一般家庭にも広がっている。業務用食品を購入できる店舗が消費者の強い味方となっているのだ。

 一方、業務スーパーのように店舗を構えず、飲食店の注文を受けて直接配送する業者もある。この場合、一般消費者が購入できないのはもちろん、どのような商品があるのかもわからない。そのためもっと「完成品」に近い商品群があるという。大阪ミナミの和食店店主が語る。

「うちがお願いしている冷凍食品業者の場合、分厚いカタログがあってオードブルからメイン料理、デザートまで2000〜3000種類の商品が載っている。よく頼むのは手間がかかる前菜。スモークサーモンの錦糸巻、エビとウニのテリーヌ、チキンロール三色巻など高級感の出るものが揃っている。

 値段としては、例えば1本を8カットにできる牛肉ごぼう巻きが5本入りの袋で230円。1カット6円弱の原価になり、そうしたものを組み合わせて前菜盛り合わせが作れる。10袋からしか発注できないが、冷凍だから賞味期限は1年。前菜をすべて店で調理していたら店員の人件費や材料費で儲けはほとんど出ない。解凍して切って盛るだけだと非常にありがたい」

 手が込んでいるように見えるメニューでも、店の厨房で作っているとは限らないのだ。

※SAPIO2014年5月号