レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー(LGBT)などセクシュアル・マイノリティーへの理解を深めるイベント、「東京レインボープライド2014 パレード&フェスタ」が4月27日に開催された。LGBTの人たちを中心に企業や団体などの支持者が、東京・代々木公園から渋谷、原宿を練り歩くパレードには、昨年の2,100人を上回る約3,000人が参加した。

連休中にLGBT関連のイベントが目白押し

これは、4月26日から5月6日にかけて開催されている「TOKYO RAINBOW WEEK 2014」の一環で、3度目となる今年は「教育」「職場」「老後」「医療」といった様々な場面で、LGBTたちを取り巻く環境に対する課題を提示。同性婚やエイズ、LGBTについて考える約50のイベントが開かれる。

「東京レインボープライド」としては3度目の開催だが、源流となるパレード自体は20年前から行われている。初回の1994年は新宿から宮下公園までを行進。約50人からスタートし、最後には300人以上にまで増えたというが、当時に比べると規模も拡大を続けている。

個人のほか、企業や学生団体、安倍昭恵さんもパレードに参加

パレードは、DJや吹奏楽隊の演奏に合わせて華麗に踊るドラァグクイーンたちを乗せたトラックを先頭に、個人参加のLGBTたちをはじめ、コスメブランドの「LUSH」や、セクシュアル・マイノリティーについての知識を広める活動をしている学生団体「国際医学生連盟日本」などが、同性愛への理解を求めるフラッグやパネルを掲げながら列を成す。

パレードを観覧するため、路上には多くの人が集まった。なかにはレインボーの旗を振る人も。安倍首相夫人の安倍昭恵さん(右)もパレードに参加

現在、バラエティをはじめ音楽ユニット「星屑のスキャット」で活躍されているメイリー・ムーさんは、約10年ぶりにパレードへ参加されたそう。

「以前に比べると家族連れやストレートの人が訪れていてすごくいい雰囲気。自分がLGBTであることを、なかなか受け入れられない人たちにとってもこういう場は貴重だと思います」

ミッツ・マングローブさんのお店「来夢来人」で働く、メイリー・ムーさん(右)と、リル・グランビッチさん。ゴージャスなお二人のツーショット

さらに、公園内にはブースも50以上出展。昨年、アジア太平洋地域で初となる同性婚法が施行されたニュージーランドをはじめとする各国大使館も参加。なかでもとくに盛況だったのが、ゲイ・レズビアンが経営する新宿2丁目の飲食店約150店が加盟する「新宿2丁目振興会」。2丁目を訪れてみたいという人たちにおすすめの店舗などを紹介してくれるということで、ストレートの人たちも多く集まった。

誰もが楽しめるフェスティバルを地方へも広げたい

同イベントの代表を務めるNPO法人「ハートをつなごう学校」の杉山文野さんは、次のように話す。

「こうしたパレードは人権活動やデモ行進っぽいイメージが強いのですが、LGBTを身近に感じてもらうためにも、フェスティバルとして楽しいものにしたい。また、今後はこうした活動を地方にも広げていきたいです。地方のLGBTの人たちは、相談する場所も少なくカミングアウトにも不安を抱える人が多いのが現状です。そうした人に『東京レインボープライド』のような活動の存在を知ってもらいたいし、そのためにもPR会社やデザイナーなどプロの方たちの協力のもと、学園祭レベルで終わらないようなイベントを今後も継続して開催していきたいと思っています。また、最終的にはセクシュアル・マイノリティーのことだけを伝えたいのではなくて、人間誰しもがコンプレックスやマイノリティー性を持っていると思うので、こういうイベントを通して、もっと自分のやりたいようにやっていいんだな、と考え始めるきっかけになったらいいなと思っています」

性同一性障害について語ったエッセイ『ダブルハッピネス』の著者でもある主催者の杉山文野さん

また、パレードと同日に開催されたショーステージには、女優の夏木マリさんが登場。「愛のかたちには色々ある。愛することは自分を知ること」と歌に乗せてメッセージを伝えた。ラストに歌った「Over the Rainbow」では、会場が一層の盛り上がりを見せた。

見学者を含め総勢1万4,000人を動員した「東京レインボープライド」。「Tokyo Rainbow Week 2014」の幕開けに相応しい、活気と華やかさが印象的だった。

(取材・文=末吉陽子)

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