日本が自由貿易について論じる際、農業は必ず守るべきものとして語られてきた。そのとき、農水省や農協は食料自給率を低下させてはならないという主張を繰り返してきた。世界最低レベルと広報されている日本の食料自給率は、本当に低いのか。

 農水省は「食料自給率39%」を盛んに唱え、自給率アップのために予算が必要だと言わんばかりだ。しかし、計算方法にカラクリがある。

 39%はカロリーベースで計算された食料自給率で、農産物をカロリーに換算し、〔国民一人一日当たりの国産供給カロリー〕を〔輸入分まで含めた一人一日当たりの総供給カロリー〕で割って算出する。

 気をつけなくてはいけないのは、分子には全国に250万戸以上ある農家(販売しない自給的農家を含む)が自家で消費したり親戚・知人に配ったりする、市場に流通しない大量のコメや野菜が含まれていない。さらに外国産のエサで育った牛や豚なども国産にカウントされない。

『TPPで日本は世界一の農業大国になる』(ベストセラーズ刊)の著者で農業ジャーナリストの浅川芳裕氏が指摘する。 

「農水省は明らかに自給率を低く見せようとしている。そもそもカロリーベースの自給率を国策に用いるのは世界中で日本のみ。実際には日本の農業生産力は高く、生産額ベースの自給率は68%です」

 元々農水省はカロリーベースと生産額ベースの自給率を併記して発表していたが、1995年を境に生産額ベースの発表が消えた。当時はウルグアイラウンドでコメの関税化交渉中であり、危機を煽るため自給率を低く見せる必要があった。現在は生産額ベースの発表も復活したが、カロリーベースがスタンダードとして扱われている。

※SAPIO2014年5月号