湖南省の中南大学大学院在籍中に邱永漢氏と出会い、卒業を待たず、2005年から氏が亡くな る2012年5月16日まで秘書として中国ビジネスと中国株を直接学んだ上田尾さん。先月からビジネスの拠点を中国から台湾に移した上田尾さんが考える、日本、台湾、そして中国。

 1999年から日本を離れアメリカ、そして2002年に中国に移ってきたので、今年で中国生活は13年目になります。これまではまったく感じなかったのですが、中国は最近になって日中関係の悪化や空気汚染の問題もあり、少し住みづらくなってきました。それが直接の理由ではないのですが、仕事の都合もあり先月から拠点を中国から台湾に移しました。

 中国では反日感情がますます強くなり、そして今、戦後補償をめぐって上海海事法院が商船三井の船を差し押さえるという、やり過ぎとも言える深刻な事件が起こってしまいました。

 これまでは、対日民間賠償要求について日中共同声明で取り決めたこともあり、中国政府自身も日中間の関係維持のためか、提訴があっても却下しつづけてきたのですが、ついに今回差し押さえという非常に厳しい処置を行ないました。

 中国版ツイッターのウェイボーでも今回の事件に対して賛成の意見が多く、なかには「上海海事法院が日本の侵略を受けた各国のために立ち上がった! みんな続け!」「たった船一艘では何の賠償にもならない! 日本全土でもまだ足りないくらいだ!」といった反日をさらに煽る書き込みが多く見られます。

 これまでは抗日デモが起きても恒例行事なので、「まあ何とかなるだろう」と楽観していたのですが、今回のようなことが現実に起きてしまうと、そうもいっていられなくなりました。

 今後、中国に進出する日本企業はさらに少なくなるでしょうし、なにより中国でビジネスしている日本企業にとって大きな不安要素で、撤退や縮小が続くことになるでしょう。ずっと中国で仕事をしてきた我々にとっても、今回の事件の行方は気になるところです。

 抗日デモでは日本企業への放火や略奪的な行為が一部で見られましたが、今回の事件を機に「日本のモノは俺たちのモノ!」的な流れにならないことを願います。

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