ヤンキースが見つけた最低年俸の黄金

 今季メジャーリーグで話題沸騰中のヤンキースのシンデレラボーイ、ヤンガービス・ソラルテ三塁手(26)が昨オフ、日本プロ野球への移籍を検討していたことが分かった。USAトゥデー紙の名物記者ボブ・ナイチンゲール氏が「ヤンキースが見つけた最低年俸の黄金」という特集で報じている。

 最低年俸の黄金とはスプリングキャンプで無名のマイナー契約だったはずが、レギュラーシーズン開幕後にポジションをつかんだ2人の内野手、ソラルテとディーン・アナ二塁手(27)を指している。両選手とも今年がメジャー1年目だ。

「ワオ、まだ信じられないんだ。今シーズンは夢の中にいる感じ。僕たち2人にとってはね」

 そうソラルテは語っているという。記事によると、2カ月前、マイナーリーグのフリーエージェントだったソラルテはもしもどの球団からもオファーがなければ、日本行きを考えていたという。

 ベネズエラ出身のソラルテは4月23日の時点で今季19試合出場。打率3割3厘、打点9、ホームラン1本と大活躍。先日のトリプルプレーの起点となる好守を見せるなど、ピンストライプの起爆剤となり、ア・リーグ東地区首位の原動力となっている。禁止薬物使用疑惑などで今季公式戦出場停止となっているアレックス・ロドリゲスの代わりに、正三塁手の座を手中に収めた形だ。

 一方、パドレスからトレードで今季ヤンキースのロスター入りしたアナは19日の大量得点差で敗れたレイズ戦でピッチャーを務め、話題となった。アナとソラルテの年俸は合計115万ドル(約1億1700万円)。出場停止処分のロドリゲスが何もせずに手にできる金額よりも172万ドル(約1億7500万円)ほど安価だったという。

号泣しながらロスター入りを代理人に報告

 春季キャンプ中には4割2分9厘と大当たりしていたソラルテだが、ブライアン・キャッシュマンGMは代理人のピーター・グリーンバーグ氏に「不運なことに、ロスターに入れるようには見えない」と一時、抜擢に否定的な意見を示していたようだ。その夜に代理人と会食し、非情な現状を伝えられたソラルテはひどく落胆していたが、ロスター入りを目標に諦めずに全力を尽くすことに決めたという。

 そして、2日後のこと。ソラルテは号泣しながらグリーンバーグ代理人に電話でロスター入りを果たしたことを伝えている。

「僕はラッキーな人間だ。今でも感動している。ここに残るために全力を尽くすよ。見ていてほしい」

 ソラルテはそう語っている。

 躍動感溢れるプレーで今年のメジャーの主役の1人となりつつあるソラルテがもし違う選択肢を選んだとしたら、日本のプロ野球はもう一つ大きな見所が増えていたかもしれない。