ACLグループステージ第6節・蔚山現代戦は3-1。
グループステージ突破、日本勢一番乗り、小林悠選手のゆりかごゴール、大久保嘉人選手のACL初ゴール、ジェシのバースデーゴール、中澤聡太選手の日本人ACL出場最多記録更新・・・と、話題盛りだくさんでしたな。


 フロンターレのサッカースタイルからすると、組みやすい相手だったと思います。たぶんウルサンはそこまでフロンターレ対策を練って来ていなかったのでしょう。守備陣形はコンパクトでしたが、こちらのパスワークには簡単に食いついてきてました。プレッシャーもそれほど強くなかった上に、DFラインが高かったので、そこのギャップも狙いやすく、序盤から縦に速い攻撃で決定機を作り出していきます。レナトがことごとくゴールに嫌われるという日ではありましたが、小林選手がしっかり決めて先制に成功。

 その小林選手に狙い澄ましたパスを出したのは憲剛選手でした。スペースに流し込むスルーパスではなく、相手のブロックの間でフリーになった味方の足元に届けるボールです。風間流の強くて速いパスの典型ですね。そしてあの強いパスをしっかりとコントロールしてシュートを決めた小林選手の一連の技術も素晴らしかったと思います。この形は、出し手は強いパスを出す、受け手は相手を外してトラップして決めるという、麻生で毎回しつこいほどやっているシュート練習がそのまま出たゴールでした。

 試合後、憲剛選手に聞くと、「あれは完璧でしょ?ダッ!(←パスを出すしぐさ)ビシッ!(←ボールを止めるしぐさ)気持ちよかったよ」とご満悦でした「あいつ、外したら・・・(以下自粛)だったよ」と冗談で言ってましたので、小林選手は決めておいてよかったですね・笑。


 前日練習を体調不良で休んでいた大久保選手は、さすがに動きが悪かったですね。それでもここぞという場面でしっかりパワーを出してゴールを決めたのはさすがでした。斜めに動くことでできるギャップを狙ってラスパスを出した森谷選手の技術も素晴らしかったと思います。


 2得点後、ウルサンはプレーのスピードを一段上げてきました。直後にあっさり失点してしまい、2-1。その後の前半残り10分、そして後半の立ち上がり15分は、相手の圧力を受けて、かなり我慢の時間が続きました。ここが勝負所でしたし、そこを耐えたのがフロンターレとしては大きかったと思います。

 中でも後半8分の田中裕介選手のスライディングシュートブロックにはしびれました。左サイドを完全に崩されてしまい、折り返しがキム・シヌクの足元に。完全なるフリーでシュートを打たれます。しかし田中裕介選手がシュートコースに飛び込み、決死のスライディングでブロックに成功。

 試合後、本人にあの場面について聞くと、「あれは1点でしょ!流れを変えたと自分でも思っている」と自画自賛・笑。
「マイナスのボールに9番が待っていたので、自分のマークを捨てて、空いているコースにスライディングに行った。イチかバチではあったけど、止めることができた。止めた瞬間は、気持ちよかったね。今日はついていたと思う」と会心のシュートブロックを振り返ってくれました。

 今季の公式戦に現在全試合出場しているのは、実は中村憲剛選手、大久保嘉人選手、田中裕介選手の3人だけ。その中でも出場時間が一番長いのが田中裕介選手だったはずです。海外の移動も含めた過密日程でこれだけ試合に出続けているだけに、さすがに疲れているなー、と思うパフォーマンスの試合も正直、あります。でもやるべきことは絶対にやる。フロンターレのタフガイが見せた、あのシュートブロックには「あっぱれ!」をあげたいですね。


 そして試合を決定づけたのは、CKからジェシのヘディングゴール。この試合、彼は196センチの大型FWキム・シヌクとのマッチマップをしていたんですよね。そのことについて聞いてみたところ、「彼より高く飛べれば良いな、と思いながらプレーしていました。身長差は10センチ以上あったので、その分、高く飛ばないと勝てないと思っていましたから」と冗談を交えながら話してくれました。

 そしてヘディングゴールは、キム・シヌクの上から叩きつけて決めるというね・・・本当に相手より高く飛んでるし!人間、願い続ければ夢は叶いますねぇ・笑。

 この日はジェシの34歳の誕生日でした。
「ゲーム前にケンゴ(中村憲剛)から、『今日は誕生日だからゴールを決めてくれ』と言われていたし、自分からも良いパスをお願いしていた。あれはケンゴからの誕生日プレゼントだと思っているよ」

 言うコメントがイチイチかっこ良いです。ちなみに誕生日前日にゴールを決めたことはあったけど、誕生日当日に決めたのは、自身のキャリアで初めてだったそうです。


 このままゲームをクローズさせて3-1で勝利。
ウェスタンシドニーが大勝したため2位通過になりましたが、日本勢としてグループステージ突破一番乗りを果たしました。

 ACLでJリーグ勢が苦戦を強いられていた中、突破できた事実ももちろん嬉しいですが、チームとして前に進んでいる手応えをしっかり感じられるのがすごく嬉しいですよね。

風間監督の下で磨いたスタイルで川崎フロンターレというクラブが新しい歴史を刻み始めていますし、それを目の当たりにできているんですから。楽しまないと損ですよ・笑。


この試合のMOMは小林悠選手。
パパになっての初ゴールです。すっかりたくましくなりましたね。彼の公式戦初ゴールは、天皇杯での大学生相手に決めたヘディングゴールでしたが、ゴールパフォーマンスでKARAのダンスを踊っていたのが懐かしいです・笑。